マドリード州などで一斉休校、新型コロナウイルス感染急増で警戒レベル引き上げ

(スペイン)

マドリード発

2020年03月11日

スペインでも新型コロナウイルスの感染者が急増している。サルバドール・イリャ保健相は3月10日夜に記者会見を開き、国内で確認された感染者は1,204人、死亡者は28人に上ったと、警戒レベルをこれまでの「封じ込め」から、集団感染発生地域で積極的な隔離措置を伴う「封じ込め強化」に引き上げた。

具体的には、感染者が最も多いマドリード州(578人)が3月11日から15日間、保育園から大学まで一斉休校・休講とする措置を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。当地報道によると、バスク州南部(ビトリア市など2自治体)でも、9日から同様の措置を講じている。これに伴ってマドリード州は、テレワークやフレックス勤務の活用を推奨するとともに、不要不急の出張や旅行を控えるよう呼び掛けた。

これに先立つ6日にマドリード州保健当局は、介護施設を除く全ての高齢者施設に1カ月間の閉鎖を命令。バスク州に隣接するリオハ州では、クラスター感染で自宅隔離中の複数世帯を警察が監視するなど対策強化の動きが先週から報じられている。

入国制限は8日現在なし、政府は対策強化を検討

保健省は2月26日から、中国(香港、マカオを含む全土)とシンガポール、日本、韓国、イラン、イタリア北部4州を集団感染国・地域に指定しているが、3月8日現在、これらの国・地域からの入国者への制限は特に行わず、14日間の健康観察などの一般的な感染発見・予防対策を推奨するにとどまっている。

大型イベントへの対応はさまざま

バルセロナ見本市会場は4月20~23日に開催予定だった食品・飲料・フードサービスの大型国際展示会「アリメンタリア(Alimentaria)」について、国際状況を考慮して9月14~19日に延期すると3月5日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この展示会はスペイン国内で開催される国際展示会の中では最も重要性が高いものの1つだ。

そのほかのイベントについての対応はさまざまだ。欧州サッカー連盟(UEFA)チャンピオンズリーグの対イタリアチームの試合は、保健省の3月3日付勧告に従って無観客で開催。しかし、3月1日の「伝統の一戦(エル・クラシコ)」と呼ばれるスペインリーグのレアル・マドリード対FCバルセロナ戦は予定どおり開催され、スペインの三大祭りの1つ「バレンシアの火祭り」(3月1~19日)も始まった。これ以上の損害を食い止めたいという観光業界の意向も強く反映されているようだ。

政府は新型コロナウイルス感染が長期化する場合、企業の資金繰り支援や休業手当補助を行う方針だ。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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