パレードなしの聖パトリックデー、新型コロナウイルス拡大で

(アイルランド)

ロンドン発

2020年03月18日

アイルランド保健省によると、3月15日までの新型コロナウイルスの国内感染者は累計169人、死亡者は2人となった。9日から15日までの7日間で148人、15日だけでも40人に新たな感染が確認されるなど、急速に拡大している。

こうした中、政府は3月12日、屋内100人超・屋外500人超の集会やイベントの中止、博物館・美術館・観光施設の閉鎖、学校・託児所の閉鎖、在宅勤務・テレビ会議の奨励などの措置を3月29日まで行うと発表。また、3月17日はアイルランド最大の祝日「聖パトリックデー」で、例年多くの地元客や観光客で賑わうが、予定されていたパレードは、3月9日に中止が決定されている。

さらに政府は3月15日、同日の夜から3月29日までの間、国内全てのパブ、バーに営業停止を要請。国民に対しても、私宅その他の場所を問わず、パーティーなど社交的会合の開催や参加を見合わせるよう要請した。一方、レストラン含めその他の店舗の閉店は、16日時点で要請していない。

国内経済への影響も懸念されている。公共放送局RTE(3月16日付)によると、同感染症への対応により、これまでに14万人の労働者が一時解雇されたと推計されている。経済社会研究所(ESRI)のキーラン・マックイーン博士研究員は、新型コロナウイルスの流行が第1四半期で終わり、6~7月までに国内の状況が正常に戻った場合は、2020年通年の経済はプラス成長が見込まれる一方、流行がそれより長引く場合、世界金融危機以来のゼロ成長またはマイナスになると予測している(「アイリッシュ・タイムズ」紙3月14日)。

アイルランド居住者に対しては、外務貿易省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがイタリアについて渡航中止を、北アイルランドを除く全ての国・地域について不要不急の渡航中止を勧告している(日本時間3月17日10時時点)。

また、保健サービス委員会は、北アイルランドを除く全ての国・地域からのアイルランドへの入国に関し、アイルランド居住者を含むすべての入国者を対象に、14日間の自宅待機を求めている(日本時間3月17日10時時点)。

(杉田舞希、尾関康之)

(アイルランド)

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