法人・個人への第2弾の経済支援パッケージ、総額484億Sドル
(シンガポール)
シンガポール発
2020年03月27日
シンガポールのヘン・スイキャット副首相兼財務相は3月26日、2020年度政府予算(2020年4月~2021年3月)の補正予算で、総額484億シンガポール・ドル(約3兆7,268億円、1Sドル=約77円)の新型コロナウイルスに伴う一般世帯や法人向けの経済支援パッケージを発表した。同パッケージは2月18日発表の2020年度政府予算に盛り込まれた総額64億Sドル(約4,928億円)の経済支援パッケージに続くもの(2020年2月27日記事参照)。政府の新型コロナウイルスに伴う経済支援パッケージの総額は2月と3月を合わせて合計548億Sドルと、同国GDPの11%相当の規模となった。
ヘン副首相は発表の中で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内経済への影響について「(1965年の)独立以来、最悪の景気収縮となる」との見通しを示した。第2弾の主な支援策としては、1回目の支援パッケージに盛り込まれた国民(永住権者含む)の雇用維持支援「雇用サポート・スキーム」に151億Sドルの予算を充て、内容を拡充。当初、月給8%相当を3カ月間支援するとしていたものを、月給25%(飲食分野は50%、航空、観光分野は75%) を2020年末まで支援し、支援対象となる月給上限も3,600Sドルから、4,600Sドルへと引き上げた。また、法人向けの融資資本として、約200億Sドルの予算を充てる(注)。
このほか、新型コロナウイルスで最も直接的な打撃を受けている航空、空港への支援として、航空サポート・パッケージの支援総額を2月に発表した1億1,200万Sドルから3億5,000万Sドルへと引き上げる。ヘン副首相は、「チャンギの空港ハブは、同国GDPに約5%貢献し、約19万2,000人を雇用する国内経済の重要な柱だ」と述べた。
政府は、今回の総額484億Sドルの追加支援の財源の一部として、170億Sドルをこれまで積み立てた過去の準備金から供出する。同国が過去の準備金を取り崩すのは、2009年の米リーマンショック以来となる。
同国で3月26日までに確認された新型コロナウイルスの感染者は累計で683人(うち、172人が回復、18人が重篤者、2人が死亡)となった。
(注)2020年度補正予算で示された2回目の支援パッケージの詳細については、政府予算のホームページ参照。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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