モロッコ、「衛生緊急事態」発令して外出禁止に

(モロッコ)

ラバト発

2020年03月25日

モロッコ内務省は3月19日、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて「衛生緊急事態」を発令し、3月20日午後6時から新たな命令があるまでの期間、外出禁止とした。ただし、居住地近郊での生活必需品の調達、治療や薬の調達などの医療的理由、医療従事者など一部の職業に従事する人による移動許可証を携帯した上での通勤は、例外となる。とはいえ、物資調達や治療のための外出に許可証が必要か、例外となる職業の解釈といった点で運用に不明瞭な部分が多く、今後は運用が進み、詳細が明らかになるまで、情勢を把握することが重要となる。

同命令により、市民生活に混乱をきたすのではないかといった懸念もあるが、20日時点では、ラバト市内で大きな混乱は見られない。在モロッコ日本大使館によれば、モロッコ当局は国際旅客便が運航できる最終期限(運航許可期限)を22日正午とした。

16日に全国観光連盟(CNT)のアブデルラティフ・カバジ会長は、モロッコの観光業はホテル部門だけで3,500社、観光業全体で8,500社が存在し、50万人の雇用を生み出しているが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府による減税や銀行の柔軟な対応といった適切な処置を行えなければ、多くが職を失うとした。同連盟によれば、2020年末まで状況が改善しなければ、観光業全体で340億ディルハム(約3,740億円、1ディルハム=約11円)の損失、ホテル業界だけでも140億ディルハム以上が失われるもようだ。

現地報道によれば、20日現地時間午前9時半時点の感染者は国内で66人、死者は3人。感染者のうち、2人は回復したと報じられている。

(大野晃三)

(モロッコ)

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