新型コロナウイルスで在外フィリピン人による送金予測を下方修正

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月13日

フィリピンのカルロ・ノグラレス大統領府長官は、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大の影響を受け、2020年の在外フィリピン人労働者によるフィリピン国内への送金額の予測を345億ドルから342億ドルに、送金額の前年比増加率を3.0%から2.2%にそれぞれ下方修正したと発表した。2月24日付でフィリピン国営通信ほか地元各紙が報じた。

ノグラレス大統領府長官は、香港、マカオ、中国本土の在外フィリピン人労働者によるフィリピン国内への送金額は、それぞれ全体の2.7%、0.4%、0.1%を占める一方、こうした国・地域において新型コロナウイルスの感染が拡大していることから、2020年の送金額に一定程度、影響が出るとした。

フィリピン政府は3月2日時点で、全てのフィリピン国民に対して、香港とマカオを除く中国全土への渡航禁止措置を発動しており、香港とマカオについては当該地域で労働するフィリピン国民は関連するリスクを認識し、理解したことを示す宣誓書に署名することを条件に渡航することを認めている。一方で、香港とマカオへの航空便の多くが欠航しているため、在外フィリピン人労働者の両地域への渡航や職場への復帰、現地での労働に一定程度の影響が出ているとみられる。

GDPの約1割に相当する在外フィリピン人からの送金は、フィリピン国内の消費市場を活性化させ、2012年以降8年連続で続いている5%以上の経済成長にも貢献している。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、世界中で労働しフィリピン国内に送金する出稼ぎ労働者の雇用や生活に影響を与え、間接的にフィリピンの国内経済、消費活動に影響を与える恐れがある。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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