連邦下院、医薬品・医療品の価格急騰を受け価格抑制法案を採択

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年03月26日

連邦下院(国家院)は3月19日、医薬品(注)や医療機器の最大許容小売価格の設定を可能とする改正法案(連邦法「医薬品の流通」第60条および連邦法「ロシアにおける国民の健康保全の基本」第38条の修正)を採択した。今後、連邦院(上院)による審議を経て、大統領が署名すれば発効する。

改正案は、新型コロナウイルスのような周囲に危険をもたらす感染症拡大の脅威や非常事態に際し、不可欠となる物品の価格を調整する規程を連邦法で制定することを目的としている。政府は医薬品や医療品の価格を注視し、小売りチェーンの卸売り価格を含めて1カ月以内に30%以上の値上がりがみられた場合に価格上限を設定することができ、その後90日間は設定された以上の価格での医薬品や医療品の販売が禁止される。改正法は公示日に発効する予定。

ビャチェスラフ・ボロディン下院議長は「昨今、ロシア全土で見られる医療用マスクと消毒ジェルの深刻な不足は、急増する需要だけでなく、これらの商品を繰り返し高騰する価格で販売する再販売業者の行動の結果でもある。下院は国民を守るための法案を優先的に検討する」と語った。

2020年2月より連邦独占禁止局(FAS)と連邦保健監査局(ロスズドラブナドゾル)は薬局でのマスクの値上げや抗ウイルス薬の欠如に関するモニタリングを開始している。新型コロナウイルス対策本部を率いるタチヤナ・ゴリコワ副首相は2月5日、プーチン大統領が出席する政府会議で価格の急騰状況を報告し、特に医療用マスクについて通常1枚1.5ルーブル程度の値段であるものが70~100ルーブルと急激な値上がりがみられていると指摘した。これを受けプーチン大統領が改善措置を採るよう指示していた。

主要経済紙「コメルサント」(3月20日)によると、サハリン州では投機目的などの購入を防ぐため、保健省がマスクの販売を一回の購入につき使い捨て10枚、再利用可能では5枚までに限定しているもよう。

(注)生命維持のためのリストの含まれないもの。

(秋塲美恵子)

(ロシア)

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