カナダ・オンタリオ州が非常事態宣言、連邦政府は緊急事態法の発動を検討
(カナダ)
トロント発
2020年03月19日
オンタリオ州のダグ・フォード州首相は3月17日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため非常事態宣言を行った。この宣言により、前日までは「要請」にとどまっていたナイトクラブ、映画館、劇場、図書館、私立学校、チャイルドケアの一時閉鎖、レストラン、バーのテイクアウトとデリバリーを除く営業停止、50人以上の集会禁止が、3月31日まで法的に義務付けられることになった。さらに、新型コロナウイルス対策費として3億400万カナダ・ドル(約231億円、1カナダ・ドル=約76円)を拠出して、医療機関の患者受入れや検査体制の強化、医療関係従事者向け製品の提供や高齢者施設へのスクリーニングなどに充てるとした。
フォード州首相は記者会見で、緊急事態宣言は州の閉鎖(provincial shutdown)を意味するものではないとして、「日々の生活に不可欠な企業を含む大多数の企業は、この宣言の影響を受けるものではなく、食料品店、コンビニエンスストア、薬局、製造施設、公共交通機関、重要な公共サービス、建設現場、オフィスビルはすべて引き続き運営される」とコメントした。また、「われわれは、現在、医療システムの崩壊を防ぐため、コロナウイルスの拡散を遅らせられるあらゆることをする必要がある」と州民に理解を求めた(「グローバルニュース」3月17日)。
トルドー首相は同日、記者会見を開き、早ければ翌18日にも雇用保険に加入していない約2割の雇用者に対する経済的支援などを含む財政支援プログラムを発表する意図があることを明らかにした。さらに確定申告の締め切り延長についても検討中であるとしたが、「ナショナルポスト」紙(3月17日付)によれば、申告期限については6月1日、納税期限については7月31日までの延長を発表する予定とのことだ。ケベック州政府も同様の対応を発表している。また、景気刺激措置の実施に必要な法案を成立させるべく臨時議会を招集する方向で調整しているとも発言した。
また、トルドー首相は、「非常事態法」を発動すべきか、または、同法を発動せずに政府が国民を保護するための措置を講じることができるかどうかを検討していると述べた。非常事態法は国民の健康や安全を脅かす「緊急かつ重要な」状況時に発動することができ、同法を発動することで、政府は国民に対し、旅行の禁止、避難命令、生活に必要なサービスの提供指示、不可欠な製品・資源の配給規制、緊急シェルターと病院の設立、同法施行により生じた損害に対する補償のための(予算)支出を行うことができる。
なお、カナダ政府によると、3月17日午後8時時点での国内感染者は569人、死者8人となっている。
(酒井拓司、飯田洋子)
(カナダ)
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