「日・ケニアビジネス対話」第2回会合を開催、双方のビジネス環境改善を目指す

(ケニア、日本)

ナイロビ発

2020年03月23日

ナイロビで3月12日、「日・ケニアビジネス対話」第2回会合が開催された。ケニア投資庁(KenInvest)のデニス・ワウェル理事長をはじめ、ケニア植物検疫所(KEPHIS)のエスター・キマニ所長らケニア省庁・関係機関の代表者と、在ケニア日本大使館、ジェトロ、国際協力機構(JICA)ケニア事務所、在ケニア日本商工会幹部、オブザーバーの日本企業など76人が参加した。第1回会合で日本側が提示したビジネス課題に対し、ケニア港湾公社(KPA)やケニア歳入庁(KRA)、ケニア移民局、ケニア基準局(KEBS)が改善への取り組みについて方向性を示した。日本大使館とJICAからは、ケニア政府への新たな援助スキームとして、政策借款や技術協力の可能性を提示し、ケニア側から提案のあった農作物の対日輸出に関する要望に対しては、日本大使館が必要なプロセスを解説した。会合後にはオブザーバーを含む参加者がネットワーキングを行った。

写真 会合の様子(ジェトロ撮影)

会合の様子(ジェトロ撮影)

「日・ケニアビジネス対話」は、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に先立って日本の官民で構成される「TICAD官民円卓会議」で提案された「二国間ビジネス環境改善委員会」に基づく取り組みだ。この委員会は、アフリカ各国のルールや制度、手続きなどの課題を明確にし、具体的に改善していく仕組みで、開催の頻度や形式は各国ごとに異なる。ケニアでは現地ニーズを踏まえ、日本とケニア双方のビジネス環境改善を目指す対話形式の会合が2019年7月に発足した。参加メンバーは在ケニア日本商工会やケニアの経済団体(民間セクター連合など)、関連省庁で、事務局はKenInvest、日本大使館、ジェトロが務める。

第1回会合では、在ケニア日本商工会会員が回答したアンケート結果を基に、日本側から4つの課題〔(a.就労許可の取得時間の短縮、b.関税評価基準の明確化、c.船積み前検査の手順統一化、d.モンバサ港・エンバカシ(ナイロビ)内陸保税蔵置場間のコンテナ輸送円滑化〕を提示した。第2回会合ではこれらの課題に対し、KenInvestワンストップ担当者が「この対話に基づき、日本企業の就労許可申請を優先的に進めることを約束する。具体的には、就労許可を4週間で、特別許可(スペシャルパス)を5日で発行するよう努力する」と話した。KRAは、課税標準の計算方法がWTO協定に基づいていることなどを説明した。KPAは、モンバサ港に荷揚げされた貨物が荷主の意向にかかわらず標準軌鉄道(SGR)でナイロビに輸送され生じた混乱について、SGR導入で取り扱い貨物量が増加したことに触れ、2019年末からコンテナをオンラインでモニタリングしており、混乱と遅延の改善に取り組んでいると説明した。KEBSは、将来的な揚げ地検査導入を視野に入れつつ、通関円滑化のため船積み前検査の重要性を改めて指摘し、ケニア政府に対し船積み前検査を委託するエージェントの拡大や、税関のキャパシティー拡大を求めていくとした。

今後は日本企業とケニア企業がそれぞれ抱える個別の課題に対し、非公開の個別会合を開催し、進捗を第3回会合で確認する予定だ。

(久保唯香)

(ケニア、日本)

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