3月上旬の消費者マインドは前月より低下、今後さらに悪化する可能性も、米ミシガン大学消費者信頼感指数

(米国)

ニューヨーク発

2020年03月18日

米国ミシガン大学サーベイ・リサーチ・センターが公表(3月13日)した、2020年3月上旬(調査期間2月26日~3月11日)のミシガン大学消費者信頼感指数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(速報値、注1)は95.9となった。市場予想(95.0)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを上回るも、2018年3月(101.4)以来の高水準となった2月(101.0)から5.0%減少した(図1参照)。

図1 ミシガン大学消費者信頼感指数の推移

同大学の消費者調査担当チーフエコノミスト、リチャード・カーティン氏は「3月上旬の消費者マインドは、新型コロナウイルスの感染拡大と株価急落を受けて(前月より)低下」したが、「重要なことは、〔世界保健機構(WHO)によるパンデミック宣言を受けての〕初期段階の反応として、大不況の前段階のような経済的パニックがみられなかったことだ」と指摘した。

内訳(注2)をみると、現状指数は前月比2.0%減の112.5(2月:114.8)となったのに対して、期待指数は7.4%減の85.3(2月:92.1)となり、現状指数より大きく低下した(図2参照)。

図2 ミシガン大学消費者信頼感指数の前月比とその内訳

カーティン氏は、期待指数の中でも特に「1年後の景況見通しに関する判断が(前月から)29ポイント低下し、3月上旬の指数低下の83%」を占めており、「依然として感染拡大が続く中で、指数はさらに低下していく可能性が高い」と指摘した。

米国調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェパードソン氏は「過去の経験が参考になるとすれば、指数は今後2~3カ月でさらに15~25ポイント低下すると予想」されるが、「過去の経験には新型コロナウイルスの感染拡大のような事態は含まれていない」と述べた(マーケットウォッチーム3月13日)。

消費者マインドの悪化は今後、個人消費やGDP成長率の下押しにつながることが懸念されるが、3月1日時点において、2020年のGDP成長率に関する市場予想(ウォールストリート・ジャーナル調べ)は1.2%と、前月(2月1日時点1.9%)から0.7ポイント鈍化している。

(注1)家計の経済状況・景況感・消費の現状・将来について毎月電話調査を行い、良い(良くなる)と答えた割合から、悪い(悪くなる)と答えた割合を差し引いて指数化したもの(1966年第1四半期を100とする)。毎月300人を対象とした速報値が第2、もしくは第3金曜日に、500人を対象とした確報値が月末に公表される。これ以外にも、民間調査会社コンファレンスボードが5,000人対象の消費者信頼感指数を毎月末に公表しているが、ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が先行して公表されることから注目される。

(注2)全体の指数は、現状指数(約4割)と期待指数(約6割)から構成される。

(権田直)

(米国)

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