欧州工作機械工業連盟、医薬機器不足対策のため、3Dプリンター活用と規制緩和を提言

(EU)

ブリュッセル発

2020年03月24日

欧州工作機械工業連盟(CECIMO)は3月19日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療機関などで深刻化する医療機器・備品の供給不足を解消するため、3Dプリンター活用を提言した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。具体的には、欧州の医療機関では「(蘇生装置用)バルブ(弁)」「人工呼吸器」の払底が深刻化しており、同連盟は欧州委員会から問題の解決に向けて会員企業の協力を打診されていたという。

同連盟によると、感染拡大が深刻化しているイタリアでは、スタートアップ企業イシンノーバ(Isinnova)が医療機関に3Dプリンターを提供、医療用バルブなど不足した医療機器・部品などの供給に貢献しているという。

一方、こうした医療現場での臨機応変な対応を阻む問題として、EUの法規制があると同連盟は指摘する。EUの「医療機器指令(MDD)」に基づくさまざまな要件が新たな技術導入の障壁となっているとして、同連盟はEU加盟国に対し、現在の緊急時に限定して一部の要件を緩和すべきと提言している。

また、欧州委員会は3月20日、欧州標準化委員会(CEN)、欧州電気標準化委員会(CENELEC)に緊急要請し、新型コロナウイルス問題に伴って欧州での不足が懸念されている医療機器、医療用マスク、手袋、防護服など、個人防護用品に関わる欧州規格をEU加盟国企業のみならず、第三国企業に対しても利用可能にすることで関係者と合意、即日有効となった。欧州委はEU規格を自由に活用することができるようになることで、企業による不足物資の増産、安定供給が期待できるとしている。

具体的には、「フィルタリング・マスク」「医療用手袋」「防護服」を対象とする、CENが開発した11件の欧州規格と、ISOと共同開発した3件の欧州規格を欧州委ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で公開した。

さらに、欧州委は新型コロナウイルス対策の緊急性に鑑み、必要な安全・衛生基準に準拠している場合、通常はEU市場での流通に必須とされるCEマークの認められていない医療機器・備品についても、EU市場への流通を認めるとする勧告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。

写真 ブリュッセルでは銅像もマスク装着(ジェトロ撮影)

ブリュッセルでは銅像もマスク装着(ジェトロ撮影)

(前田篤穂)

(EU)

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