新型コロナウイルス対策で全土対象の新たな首相府令を発表、経済面の支援策拡充を求める声も

(イタリア)

ミラノ発

2020年03月09日

イタリア国内における新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受け、イタリア首相府は3月4日、ジュゼッペ・コンテ首相がさらなる感染拡大を食い止めるための新たな首相府令に署名したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これまでは感染拡大が著しい地域に指定された北部の11の自治体や、ロンバルディア州、ベネト州などの北部地域に力点を置いた措置を講じてきたが、今回の首相府令はイタリア全土を対象に発布した。

今回の措置により、「医療関係者や必要不可欠な公的サービスなどの従事者を含む会議の中止」「人と人との距離を1メートル以上確保できないような混雑を引き起こすあらゆる種類のイベント開催中止」などを規定した。また、「手を頻繁に洗う」「握手をしない」「目や鼻、口に手で触れない」など、日常生活に関わる注意事項も記載している。首相府令は即日発効で、4月3日まで効力を有する。

イタリアでは、衛生面や市民生活における措置が講じられる中、経済面の支援策のさらなる拡充を求める声も上がっている。イタリア企業連盟(Unimpresa)は3月3日、新型コロナウイルスの感染拡大により特に大きな影響を被ると予測される産業を列挙。それらの国全体のGDPへの貢献度を示しながら、経済的支援の必要性を訴えた。具体的なセクターと産業別GDPは以下のとおりで、これら産業の合計は、2019年の統計でイタリア全体のGDPの約10%を担っているという(注)。

  • ホテル、レストラン:640億ユーロ
  • 輸送、交通:530億ユーロ
  • レンタル、リース:81億ユーロ
  • 旅行会社、ツアーオペレーター:20億ユーロ
  • 美術館、映画館、劇場など:108億ユーロ
  • スポーツ、レジャー:76億ユーロ

イタリア企業連盟のジョバンナ・フェッラーラ会長は「政府が発表している措置はイタリア経済を立て直すには不十分」とした上で、「近日中に衛生面の危機は経済的な惨事に変わる」と警鐘を鳴らした。

(注)イタリア国家統計局(ISTAT)の数値を基に、イタリア企業連盟が発表したもの。

(山崎杏奈)

(イタリア)

ビジネス短信 77c562471f76464f