ロシアで普及が拡大するフィンテックサービス

(ロシア、日本)

海外調査企画課

2020年03月11日

ロシアでフィンテック〔情報通信技術(ICT)を駆使した金融商品・サービス〕市場が成長している。ロシアの文系大学として名高い高等経済学院の報告書によると、2018年のロシアのフィンテック市場規模は約5,400万ルーブル(約8,100万円、1ルーブル=約1.5円)と前年同期比12.5%増となっている。また、同年のロシアの銀行業の成長率を8%としており、フィンテック市場は銀行業よりも伸びが大きい。2019年のフィンテック市場規模は6,000万ルーブルとなる見通しで、引き続き10%程度の伸び率が見込まれている。普及が進んでいる理由としては、安価な通信料によるインターネット普及率の高さなどが挙がっている。

ロシアで大きな成長市場のフィンテック市場のプレーヤーはロシア企業だけではない。ロシアで金融サービスを展開するSBIバンクは2019年10月18日から家族向け金融サービス「スボイ・クルグ(Svoy Krug)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の提供を開始した。SBIバンクの日ロビジネス発展開発部ディレクターの藤井脩祐氏によると、2024年までに個人顧客を50万人に拡大させる目標に向け、特に子ども向けサービスを充実させたという。具体的には、a.子どもに課題を課して目標を達成すると、その課題に応じた小遣いが子どもの口座に入金されるキッズ専用アプリ、b.ペイメントタグに小学校入館システム(注)やICカード乗車券を連携させたキッズ専用サービスなどがあり、他社と差別化を図っている。

写真 ペイメントタグ(SBIバンク提供)

ペイメントタグ(SBIバンク提供)

2019年12月には、「スボイ・クルグ」のモバイルアプリが中・東欧最大とされるデジタルコンテスト「タグライン・アワーズ」の「金融・保険会社のベストモバイルアプリ部門」の銅賞を獲得。このアプリはその独自性やビジネスの成長性が評価された。なお、高等経済学院の報告書によるとロシアのフィンテック市場はアーリーステージとされており、60%のフィンテック企業が同市場に前向きな見通しを持っている。

(注)ロシアでは公立小学校に共通の入館システムを導入しており、子どもが小学校へ登校すると、親に自動で連絡が届く仕組みとなっている。

(宮下恵輔)

(ロシア、日本)

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