380億ユーロ規模の企業救済措置を発表

(オーストリア)

ウィーン発

2020年03月30日

オーストリア政府は3月26日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業の救済措置の具体策を発表した。380億ユーロに上る主な対策は以下のとおり。

〇緊急救援金(Soforthilfe):40億ユーロ

時短勤務や中小企業などを支援するための対策。うち、自営業、フリーランサー、零細企業を対象とした補助金は、3月27日から申請の受け付けを開始している。第1段階で500ユーロまたは1,000ユーロ、第2段階では逸失収入の80%(月額上限2,000ユーロ)が3か月間支給される。収入制限が設けられており、年間6万ユーロ超、5,500ユーロ未満の場合は対象外となる。

〇信用保証(Garantien und Haftungen):90億ユーロ

対象は大企業から中小企業まで。運営は銀行が担当する。観光業の場合はホテル・観光銀行 (Hotel- und Tourismusbank)、輸出企業は貿易銀行(Kontrollbank)。大企業は輸出売り上げの10%(中小企業15%)規模の信用保証を申請できる。

〇緊急支援基金(Notfallfonds):150憶ユーロ

飲食業界や小売業界など被害の大きい業界向けで、支援金と融資を組み合わせたかたちで企業の流動性を確保する。融資額は四半期の売上を上限とする可能性があり、極力低金利を採用する予定だ。1年後に実際の被害額を政府が査定し、融資額からこの部分は差し引かれる。企業は1億2,000万ユーロまでの融資申請が可能。

〇納税の延期:100億ユーロ

申請すると納税の延期や分納が可能、延滞税は発生しない。

上記以外の措置として

〇社会保険料の支払い延期や分納が可能。延滞金については全額、もしくは一部猶予。

(田中由美子)

(オーストリア)

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