ロシア憲法裁、プーチン大統領の任期を2036年まで延長可能とする憲法改正案を承認

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年03月23日

ロシア憲法裁判所は3月16日、ロシア連邦憲法の改正案に関する結論書(意見書)を発表し、憲法改正案を承認した。

今回のロシア憲法裁による審議は、プーチン大統領が求めたもの。審議で焦点となったポイントは、3月10日の国家院(下院)第2読会でワレンチナ・テレシコワ下院議員(注)が突如提案した、現在までの大統領経験者の任期について大統領の就任回数制限の対象外とする条項。この条項を含む憲法改正案が承認された場合、プーチン大統領は最大で2036年まで大統領に就くことができる。

プーチン大統領は当初、提案を支持しないと述べたものの、最終的には承認した(「コメルサント紙」3月12日)。本条項を含んだ憲法改正案は3月11日に下院を通過し、3月12日に連邦院(上院)で採択された。プーチン大統領は今回の憲法改正に関する連邦法に3月14日に署名、同日、憲法裁判所に改正内容の審議を要請した。これを受け、憲法裁判所は今回の改正案を審議し、大統領を2期以上務める場合は、国民の支持が必要と結論付けた(「コメルサント」紙3月16日)。

ロシアでは、今回の憲法改正を問う国民投票が4月22日に実施されることとなっている(2020年3月17日付大統領令第188号)。一方、プーチン大統領は3月18日に新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、国民投票の実施延期のほか、予定どおり実施する場合でも国民の安全に留意し、自宅での投票を可能とすることも検討していると述べた(「コメルサント」紙3月18日)。

(注)世界初の女性宇宙飛行士。83歳。宇宙飛行中に発信したコールサイン「私はカモメ」は世界的に有名。

(齋藤寛)

(ロシア)

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