エジプトで2人目の新型コロナウイルス感染者を確認、検疫など強化

(エジプト)

カイロ発

2020年03月06日

国営航空会社エジプト航空は、2月1日から中国主要都市との直行便を運航停止している。武漢には約300人のエジプト人が滞在しているといわれているが、エジプト保健・人口省によると、そのほとんどが政府専用機でエジプトに帰国し、リビア国境にある病院で2週間の観察入院が行われ、特段の異常は報じられていない。

エジプトの2017年以降の経済成長の一因だった観光分野においては、中国人観光客の存在が大きかったが、観光地から中国人の姿は消えている。貿易面では、通関などで大きな影響はみられないものの、中国からの部品関連の調達に遅れが出ているほか、ニンニクなど農産物の輸入が停止されている。スエズ運河経済特区では、中国の開発機関などの関係者が滞在し、引き続き活動を行っている。

エジプト政府は、国内全ての国際空港の警戒レベルを上げ、新型コロナウイルス感染が確認されている国からの乗客に対し、検疫を強化すると発表している一方、入国制限はしていない。世界保健機関(WHO)のガイドラインに従った対応を行う姿勢を示している。ハラ・ザイード保健・人口相は、医療関係者とともに3月2日から中国を訪問し、大量のマスクや消毒剤、医薬品などを寄贈するとともに、中国政府からもウイルス検出器の寄贈を受けた。

3月2日時点で、国内で2人の感染者があったことをエジプト政府は公表している。保健・人口省のウェブサイトでは、新型コロナウイルスとその予防策について、エジプト人の認識を高めるよう普及啓発を行っている。カイロ国際空港の入国時の検疫は、検温および健康カード(調査票)の記入・提出が義務付けられているが、特段大きな混乱はみられていない。

エジプト国内のイベントはおおむね予定どおりで、3月4日からは第153回アラブ外相協議が同国で開催されるため、多くの外国要人がエジプト入りしている。ただ、エジプトに滞在する外国人を中心に、エジプト保健・人口省の迅速かつ正確な情報公開を強く望む声も聞かれる。

(常味高志)

(エジプト)

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