上海市、継続的に高齢者施設の管理強化を実施

(中国)

上海発

2020年03月24日

国家衛生健康委員会の統計によれば、新型コロナウイルスの死亡者の8割以上が60歳以上の高齢者であり、うち、持病のある高齢者の割合が死亡者全体の75%以上を占める。上海市政府は、民政部など国の機関が策定した方針・政策に基づき、社区(コミュニティ)や高齢者サービス施設などの継続的な管理強化の方針を発表した。

  1. 市や区の民政部門とそれぞれの高齢者サービス施設間で新型コロナウイルスの予防システムを構築し、24時間の応急当番制度を設ける。
  2. 高齢者サービス施設に戻る高齢者、従業員、隔離観察対象者に関する情報について、高齢者サービス施設はオンライン報告システムを通じて上海市に報告する。
  3. 上海市政府は、マスク、消毒剤、防護服などの防疫物資を市内の各高齢者サービス施設に優先的に配布する。
  4. 春節期間中に病院を離れた高齢者は、特別の理由がない限り原則自宅に留まる。どうしても病院に戻らなければならない高齢者については、病院内の専用隔離スペースで14日間の隔離観察ののちに、生活エリアに戻るようにする。
  5. 高齢者サービス施設では入居者に対して毎日2回の体温測定と健康状況の記録を義務付けるほか、施設内の消毒、換気と衛生面の管理を徹底し、施設内での集団活動を中止する。
  6. 家族や友人の施設訪問を禁止し、電話や動画、メールなどを通じて家族や外部とコミュニケーションが図れるようサポートし、高齢者の精神健康上のケアを行う。
  7. 重症の高齢者に面会が必要となった場合、来訪者は指定された通路を使用し指定されたエリアでのみ面会することができる。
  8. 普段使用している治療薬などの供給の問題は、施設内の医務室や付近の社区の衛生サービスセンターと連携し解決する。
  9. 上海市外から市内に戻ってきた介護スタッフは、14日間の自宅隔離を経て、職場復帰するよう求める。また、介護スタッフに対して、できるだけ外出頻度を抑え、施設内で食事をとり、宿泊するよう指導する。

現在、上海市で1万1,000人以上の低収入高齢者に対して、訪問介護サービスを提供するほか、一人暮らしの高齢者や経済的に困窮している高齢者に対し一日1万件以上の食事を配送している。

なお、上海市内の高齢者サービス施設の数は703カ所、社区高齢者サービスセンターは127カ所、高齢者デイケアサービスセンター560カ所、社区の在宅サービス施設は約300カ所ある。

(林真彦、徐暁蕾)

(中国)

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