新型コロナウイルス感染の治療費、短期滞在外国人は自己負担

(シンガポール)

シンガポール発

2020年03月12日

シンガポール保健省は3月9日、観光客や短期ビザで入国した外国人が新型コロナウイルスに感染した場合の入院治療費について、同月7日から自己負担とすると発表した。感染の検査費用については、政府が負担する。同省はこの理由について、「世界的な新型コロナウイルスの感染者の増加を受け、国内の公立病院内のリソースを最適化するのが狙い」と述べた。なお、国民(永住権者含む)、就労パスや学生ビザなどの長期滞在ビザを保有する外国人は引き続き、検査費用と治療費共に政府が全てを負担する。

同国では3月9日に新たに10人の感染者が確認され、新型コロナウイルスの感染者がこれまでに160人(93人が回復、10人が重篤)となった。感染者160人のうち、127人が国内で感染し、残り33人が国外での感染者。

ガン保健相、国内で新規感染者の大幅拡大、長期化を見込む

ガン・キムヨン保健相は3月5日の国会での同省の予算審議の中で、中国以外の国々で新型コロナウイルスの新規感染者が急増しているとして、シンガポール国内でも今後「新規感染者が大幅に拡大することは確実」と警告した。また、ガン保健相は、近隣諸国でも状況が急速に変化していることから「国内でも引き続き新規感染者を確認することが見込まれ、事態がかなり長期化する」との見通しを示した。

同国政府は2月18日、2020年度政府予算案の中で、総額64億シンガポール・ドル(約5,056億円、Sドル、1Sドル=約79円)の新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済支援パッケージを発表していた(2020年2月27日記事参照)。ヘン・スイキャット副首相兼財務相は3月9日、地場銀行主催のフォーラムで、新型コロナウイルス感染拡大の状況が今後一段と深刻した場合、必要であれば第2弾の経済支援パッケージを打ち出す用意もあると述べた(「ストレーツ・タイムズ」紙3月10日)。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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