インド中銀、新型コロナウイルス対策で緊急利下げ

(インド)

ムンバイ発

2020年03月31日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は3月27日、金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利(レポレート)を5.15%から0.75ポイント引き下げ、4.40%にすると決定した。金融スタンスは引き続き「緩和的(accommodative)」を維持した。

新型コロナウイルスの流行や国内一斉のロックダウン(2020年3月26日記事参照)もあり、今回のMPCは事前の予定より前倒しで開催され、緊急利下げとなった。なお、直近2回のMPCでは金利は据え置かれていた。利下げについては全会一致、利下げ幅についてはシャクティカンタ・ダス総裁を含む4人の委員が0.75ポイント利下げ、2人の委員が0.50ポイントの利下げを主張した。

MPCの発表では世界経済における新型コロナウイルスの影響と急速な景気減速に触れつつ、インド国内では農産物の供給増加や原油価格の急落、そして国内需要の大幅な減退から消費者物価指数(CPI)上昇率は緩和されるとし、今回の利下げに踏み切った。なお、2月のCPI上昇率は4%±2%のインフレ目標に対し、6.6%と目標を上回っていた。

RBIは新型コロナウイルスの影響に対し、利下げといった伝統的金融政策にとどまらず、銀行やノンバンクの支払いを3カ月間猶予するなどの非伝統的な金融政策も採用すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の利下げと措置について、モディ首相は自身のツイッターで「経済を守るための大きな一歩」だと評価し、市場関係者も歓迎している。

インドでは3月25日から21日間の全国ロックダウンに踏み切っており、食料品や医薬品の販売を除く小売店舗の開店が制限され、レストランやショッピングモールなどが閉鎖されている。また、ほとんどの民間企業も在宅勤務を命じられており、消費の急速な落ち込みにつながっている。

(比佐建二郎)

(インド)

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