米国で新規失業保険申請件数が3月第2週に急増、今後さらに増える可能性

(米国)

ニューヨーク発

2020年03月26日

米国労働省は3月19日、3月第2週(3月8~14日)における新規失業保険申請件数(季節調整値、注1)を発表した。前週(21万1,000件)から7万件増(33.2%増)の28万1,000件PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)となった(添付資料の図参照)。申請件数は、ハリケーン「ハービー」などの影響を受けた2017年8月27日~9月2日の週(29万9,000件)以来の規模となった。また、前週からの増加件数は、ハリケーン「サンディー」の影響を受けた2012年11月4~10日の週(8万1,000件増)以来の高水準だ。

州別(注2)の申請件数をみると、カリフォルニア州(5万8,208件)、テキサス州(1万6,120件)、ペンシルバニア州(1万5,503件)などが多かった(添付資料の表参照)。前週からの増加件数をみると、カリフォルニア州(1万4,823件増)、ワシントン州(8,230件増)、ネバダ州(4,192件増)などが多かった。労働省のプレスリリースによると、多くの州においてサービス関連の幅広い業種、特に宿泊施設・食品サービスなどで、新型コロナウイルスの感染拡大を受けたレイオフの増加がみられたとしている。また、感染拡大の直接的な影響を受けたかどうかは分からないが、運輸・倉庫でもレイオフが増加したとみられる。

米国調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミストのイアン・シェパードソン氏は「通常に比べて桁違いに(件数が)増加している州が10州程度」あり、「(その後も自宅待機要請などが続いていることからすると)次週(3月21日までの週)の件数はさらに増えて200万件に達するかもしれない」と指摘した(ブルームバーグ3月19日)。

(注1)当該件数は、労働者が離職した後に初めて失業保険給付を申請した件数を、週ごとに集計したもの。毎月初めに公表される雇用統計(失業率や雇用増加数など)よりも、いち早く米国内の雇用情勢変化を捉えることができる指標として注目されている。毎週木曜日に前週分が公表される。

(注2)州別の値は、非季節調整値のみが公表されている。全体の非季節調整値は、前週(20万375件)から5万517件増(25.2%増)の25万892件だった。

(権田直)

(米国)

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