感染防止のためホテル新規予約を禁止、企業には在宅勤務・リモート対応を要請

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月19日

フィリピン大統領府は3月18日、新型コロナウイルス(COVID-19)の国内感染拡大防止のため、3月18日以降にフィリピン国内のホテルが宿泊客のために予約手続きを行うことを禁止すると発表した。

本発表は、国の人口の半数以上を占めるルソン島全体に4月14日までの外出禁止令を発出し、公共交通機関の停止を行うことを決定したドゥテルテ大統領の発表を受けてなされたもので、これにより、国内のホテルは4月14日まで事実上の閉鎖となる。

フィリピン出国時の留意点を規定

フィリピン大統領府は出国についても、18日の発表にて留意点を規定した。日本人を含む外国人および在外フィリピン人労働者(OFW)がフィリピンを出国することを認めるとし、出国のため空港に行く際は24時間以内に出国することを示す旅程表を携帯すること、そして出国しない者は最大1名まで空港に行くことができるとした。これは、3月20日以降はルソン島の国際空港からフィリピンを出国することを禁止するとした3月16日付けの自身の発表を撤回したノグラレス大統領府長官の3月17日付の発表を受けて規定されたもの。

輸出型企業とBPOに3月21日以降の在宅勤務を要請、リモート株主総会・取締役会を承認、決算書類提出期限も延長

こうした状況下、企業にも在宅勤務やリモートでの対応を推進している。フィリピン大統領府は、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業および輸出型企業(Export-oriented establishments)に対して、3月21日以降は在宅勤務を行うことを要請した。本要請について、フィリピンでは、経済特区において輸出加工型の日系製造業が数多く存在する中、当該日系企業が、フィリピン大統領府が今回規定した輸出型企業に該当するかどうか不明のため、日系企業の間で混乱が生じている。

また、フィリピン証券取引委員会(SEC)は、新型コロナウイルスの国内感染拡大の状況を考慮し、すべての企業を対象に、ビデオ会議や電話会議等リモートでの株主総会や取締役会への参加方法を承認すると共に、2019年12月期の決算報告書(SEC Form 17-A)の提出期限を6月30日まで延長すると発表している(3月16日付けフィリピン国営通信ほか地元各紙)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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