オランダで初の新型コロナウイルス感染者、産業界は経済への影響を懸念

(オランダ)

アムステルダム発

2020年03月03日

オランダ政府は2月27日、オランダで初となる新型コロナウイルスの感染が判明したと発表した。この感染者は男性で、オランダ南部ティルブルクの病院で診察を受けていたが、国立公衆衛生・環境研究所(RIVM)の検査で感染が確認された。男性は、最近イタリア・ロンバルディア地方を訪問し、現在は隔離されており、市公衆衛生局(GGD)が接触歴を調査している。また翌28日には、2人目の女性の感染者が確認されたと発表した。最初の感染者との接点はないが、先週同じくロンバルディア地方に滞在していた。現在は自宅アムステルダム市ディーメンの自宅で隔離されており、GGDが接触歴を調べている。オランダ政府は28日午後、新型コロナウイルスの質問に対応するためのホットライン(公開電話番号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開設した。

これまでの新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に関し、2月12日に開催されたオランダ経営者連盟(VNO-NCW)、オランダ中小企業連盟(MKB)、オランダ輸出促進連盟(EVOFENEDEX)、オランダ産業別連盟(FME)の主要経済団体による合同会議では、新型コロナウイルスによる経済への影響は数カ月続く見通しで、またその拡散が短期的に終息しても輸送、製造分野での影響は長期化する可能性があるとの懸念が示された。

具体的には、輸送容量の不足と中国での工場再稼働の遅れが指摘され、輸送容量の不足については、中国の港湾労働者が在宅待機、かつ港と工場の配送許可が下りず作業がストップしており、多くのコンテナが港湾に留め置かれている状況にあること、また空輸も相次ぐ運休、欠航などのため輸送容量が落ちてること、さらに海運では、例えば3月中のロッテルダム~中国間の貨物輸送をキャンセルした海運会社が出ており、これに追随する海運会社も出る可能性があり、空輸と合わせ海運の輸送の値上げにもつながる可能性が高いとの指摘もあった。

工場再稼働の遅れについては、再稼働する工場も出てきているものの、本格的な再稼働を行うためには制限的な措置のためにその速度は緩慢な状況だ。在中国オランダ企業の報告では、中国政府は地元企業の「痛み」を緩和することに懸命なことから、医療用使い捨て用品や機器などを提供することで貢献しているという。

同会議では、新型コロナウイルスのリスクの最新状況、渡航アドバイスなどが情報共有され、FMEではヘルプデスクを設置、VNO-NCW外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとMKBのウェブでは新型コロナウイルスへの対応のための各種リンクなどが掲載されている。

オランダでは2月28時点で、いかなる国からの入国制限措置もとられていない。また、海外への渡航については、外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが国や地域を4段階に色分けし、渡航の注意を呼び掛けている。

(高橋由篤)

(オランダ)

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