2月の米失業率は3.5%と前月より低下、雇用者数の増加幅は前月と変わらず高水準を維持

(米国)

ニューヨーク発

2020年03月13日

米国労働省が3月6日に発表した2020年2月の失業率は3.5%(図、表1参照)と、市場予想(3.6%)を下回った。就業者数が前月から4万5,000人増加し、失業者数が10万5,000人減少した結果、失業率は前月(3.6%)より0.1ポイント低下した。労働参加率(注1)は63.4%で、前月(63.4%)と変わらなかった。

図 失業率の推移

適当な仕事がみつからずに職探しを断念した者や、不本意ながらパートタイム労働に従事する者(経済的理由によるパートタイム就業者)などを含めた、広義の失業率(U6)をみると、前月から0.1ポイント上昇して7.0%となった。こうした中、平均時給は28.52ドル(1月:28.43ドル)で、前月比0.3%増(0.2%増)、前年同月比3.0%増(3.1%増)となった。

表1 米国の雇用統計(2月速報)

2月の非農業部門の雇用者数の前月差は27万3,000人増となり、前月(27万3,000人増)と同じだが、市場予想(17万5,000人増)を上回った。1月から2月への雇用増加の内訳をみると、製造業は1万5,000人増、サービス部門は16万7,000人増となった(表2参照)。製造業は、自動車・同部品(6,800人増)や非鉄金属製品(3,700人増)などが増加した。サービス部門は、前月に続き、教育・医療サービス業(5万4,000人増)や娯楽・接客業(5万1,000人増)などを中心に増えた。

表2 主要業種別雇用増加数(前月差)の内訳(2月速報)

今回の結果は、2月12日を含む週の状況を集計したもの(注2)で、新型コロナウイルスの感染拡大による影響はまだ十分には表れていないとする見方が多い。クレディ・スイスのチーフエコノミスト、ジェームズ・スウィーニー氏は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「(米国の)労働市場の下方リスクは今後4週間で明らかになっていく」と指摘した(「ブルームバーグ」電子版3月6日)。また、人材紹介サイト、インディードのエコノミストであるニック・バンカー氏は、娯楽・接客業などでみられている雇用増の勢いは、これらの業種が「(新型コロナウイルスの感染拡大を受けた下方)ショックを乗り超えていく上で助けになるかもしれない」が、影響が深刻化すれば逆に「雇用の伸びを著しく鈍化させるかもしれない」との見方を示した(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版3月6日)。

(注1)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(注2)雇用者数の集計は、対象となる事業所から毎月12日を含む週に、当該期間が含まれる給与支払い期間(週次、月次など)分の給与が支払われた労働者の数を聴取し集計している。

(権田直)

(米国)

ビジネス短信 2011ae535ba34e3f