セブ州が学生と高齢者に24時間外出禁止令、企業に従業員半数以上のテレワーク求める

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月25日

フィリピンのセブ州は3月21日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、翌22日午後3時から65歳以上および学生の外出を終日禁止すると発表した。医療機関に受診する場合は除くが、外出の際は身分証の携行が求められる。

セブ州はさらに州内の企業に対して、3月24日以降は一部の業種を除いて従業員の50%以上の在宅勤務などのテレワークを義務付けるとした。テレワークの対象外となる業種は、医療関連施設、電気・ガス・水道・通信・空港・交通を含むインフラ、食品・医薬品を含む製造業、食品・医薬品の小売店、ゴミ収集・郵便・貨物船サービス、ニュースメディア、銀行など金融関連サービス、建設、安全・衛生など住民にとって必要不可欠なサービス、政府機関や国民の健康・安全・福祉を維持するために必要な物流、子供の世話を挙げた。

同州はさらに、3月24日からバー、カジノ、理髪店、運動施設など全ての娯楽施設の閉鎖、スポーツ大会などのイベント開催の禁止を決定。また、自宅周辺で10人以上集まって行う野外劇、ダンス、ビンゴといった催し物も禁止するとした。

セブ州は3月14日付で、午後10時から午前5時までの夜間外出を禁止し、全ての公立および私立学校の閉鎖を決定している。セブ市においては独自の行政命令により、午後8時から午前5時までの夜間の外出を禁止している。

大統領の権限強化法案が下院で成立、民間施設の強制利用可能に

新型コロナウイルスの国内感染拡大防止策を審議する臨時議会が3月23日に開会し、ドゥテルテ大統領の権限を強化するための法案「下院第6616号法案」が即日、下院で成立した。

下院第6616号法案は、公共の利益の観点から必要である場合は、民間企業が保有する病院、医療関連施設、ホテル、その他同様の施設について、医療従事者の宿泊、検疫または医療施設としてフィリピン政府が利用することや、公共交通機関を医療従事者や緊急対応要員などのために利用することを認めると規定した。ただし、新型コロナウイルスの収束時点またはなるべく早い段階で当該施設または公共交通機関の所有者に対して、フィリピン政府は相応の補償を行うものとした。

そのほか、新型コロナウイルスの感染拡大に乗じた製品価格の不当操作、カルテルおよび独占を禁じるための対策を執ることや、輸入品もしくは国内製造品にかかわらず食品、衣料品、医薬品、燃料、肥料、化学品、建材、器具、機械、そのほか必要不可欠な製品の供給、販売、物流を阻害する有害な慣習をフィリピン政府が取り締まることを認めると規定した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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