ジェトロ、コンゴ民主共和国にミッション派遣、投資ポテンシャルの高さに着目

(コンゴ民主共和国)

ヨハネスブルク発

2020年03月10日

ジェトロは2月17、18日、在南アフリカ共和国日本商工会議所の主催、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の協力の下、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ民)の首都キンシャサにビジネスミッションを派遣した。商社や通信業、製造業をはじめ、在南ア日系企業18社から22人が参加した。在コンゴ民日本大使館とコンゴ民の国家投資促進庁(ANAPI)の協力を通じて、ビジネスセミナーや主要機関・企業の訪問を実施して同国でのビジネス展開の可能性を探った。

ムネンブエ・セリエ副首相兼国家計画相は17日のセミナーで、2019年に策定された国家開発計画の下、外国に開かれた投資環境を実現するための法規制・税制などの改革に着手し、経済の生産性と競争力を高め、民間投資の収益性を上げるための環境作りに努めていることに触れ、日本からの投資促進とさらなる経済協力関係の強化を呼び掛けた。ンキンゾ・アンソニーANAPI長官は、広大な国土と9カ国に隣接する周辺国も含める2億5,000万人規模の消費ポテンシャルに触れ、2020年のGDP成長率は6.0%を超える見通しで堅調に推移(2024年には9%伸びを予測)していることを強調した。また、エネルギーや鉱業、農業、建設業(道路、港湾、空港)、情報通信業など多種多様な投資機会を説明した。特に情報通信業については、約9,200万人の人口(国家統計局)でインターネットと携帯電話の普及率はそれぞれ17%、41%にすぎない点に触れ、情報通信とその関連産業への投資需要が特に高いと強調した。セミナー後のレセプションでは、ブッサ・ジーン貿易相やバンドゥボラ・アサシア国家経済相をはじめ、地元有力企業の幹部約30人とビジネス交流を深めた。

翌18日には、サンソニ・ウィリー鉱山相や、国有鉱山の管理および鉱山会社にマイナー出資する公社ジカミンズ(GECAMINES)のほか、農業・食品、情報通信、物流、自動車関連企業など10社・機関を訪問した。同鉱山相は、国営鉱山への資金供与を含む投資、ジョイントベンチャーや技術供与を念頭にしたパートナーシップを日本企業・政府機関と広げていきたいと発言した。また、国内の零細鉱山企業が採掘するコバルトは全採掘量の2割を占めており、現在、政府はそれらの企業から正規の値段で買い付け、加工して輸出することを検討していることから、適正な鉱業収入の確保とその継続・安定のためにはさらなる投資が必要なため、日本からのアプローチに期待したいとも述べた。

ミッション団長の市川誠氏(欧州三井物産ヨハネスブルグ支店長)は、同国の消費市場の成長性(アフリカで4番目の人口、若年層の厚さ)、コバルトや銅、レアメタルといった世界有数の鉱物資源が豊富であることを利点と強調した。一方で、税制やビジネスに関する規制、治安や汚職を含めた社会情勢の不安定さなどの課題にも触れ、今回のミッションを通じて同国のビジネス環境について理解を深めるとともに、両国間のビジネス組成のきっかけになることを期待したいと述べた。2019年1月に発足したチセケディ政権の下、投資を目的とした同国への投資ポテンシャルの高さに今注目が集まりつつある。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

(築舘弘和、尾山裕緒)

(コンゴ民主共和国)

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