エネルギー会議CERAウイークの中止決定、新型コロナウイルス影響

(米国)

ヒューストン発

2020年03月04日

米国のエネルギー会議、CERAウイークの主催者IHS Markitは3月1日、3月9~12日に開催を予定していた同会議の中止を決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

例年、テキサス州ヒューストンで3月に開催され、ダボス会議のエネルギー版とも称される同会議には、OPECなどの国際機関、産油国の閣僚、各国の石油・ガス上流、電力・ガスユーティリティーなどの機関・企業の代表が参加し、2011年にはビル・クリントン元大統領やジョージ・W・ブッシュ元大統領もスピーカーとして参加したことがある。

IHS Markitによれば、今回の中止決定の要因として、世界保健機関(WHO)が2月28日、新型コロナウイルスの感染拡大に関する世界全体の危険度を4段階で上から2番目の「高い」から、最高レベルの「非常に高い」に引き上げたこと、および3月14日にトランプ大統領の出席も予定されていた米・ASEAN特別首脳会議が延期されたこと、が挙げられている。

新型コロナウイルスの影響は、原油・ガス価格にも大きな影響を与えており、2月末時点で原油が1バレル当たりブレントが48.40ドル、WTIが43.32ドルとなり、天然ガスは100万BTU(英国熱量単位)当たりヘンリーハブが1.68ドルの最低価格を記録した。

今後、世界規模で感染が拡大した場合、自宅待機などに伴い、産業分野のエネルギー消費が世界規模で減ることが懸念されており、特に中国では海外からの液化天然ガス(LNG)輸入に関し、2月上旬に供給者に対して、新型コロナウイルスの感染拡大は不可抗力として供給の中断を申し入れたが、供給者側に却下されている。CERAウイークでは、こうした話題も取り上げられるとみられていた。

さらに、テキサス州では、CERAウイーク直後の3月13~22日に音楽・映画・イノベーションの祭典サウス・バイ・サウス・ウエスト(SXSW)や、5月4~7日には海洋技術カンファレンス(OTC2020)が予定されており、これらへの影響も懸念されている。

(中川直人)

(米国)

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