豪政府が追加の経済刺激パッケージを発表

(オーストラリア)

シドニー発

2020年03月25日

スコット・モリソン首相は3月22日、新型コロナウイルスによる国内経済への影響を緩和するため、661億オーストラリア・ドル(約4兆2,965億円、豪ドル、1豪ドル=約65円)の経済刺激パッケージの第2弾を発表した。

先に発表された経済刺激パッケージ第1弾(176億豪ドル)に加え、政府およびオーストラリア準備銀行(RBA、中銀)による中小企業向け金融支援策(150億豪ドルおよび900億豪ドル)を合わせると、国内総生産(GDP)の9.7%に相当する総額1,890億豪ドル(約12兆2,850億円)が投入される見通し。第2弾の主な支援内容は、以下のとおり。

労働者および家計への支援

  • 失業手当や育児手当などの特別給付受給者に対して、今後6ヵ月間、隔週550豪ドルを給付(予算規模:141億豪ドル)
  • 社会保障給付対象者、退役軍人などに750豪ドルを給付(同40億豪ドル)
  • 新型コロナウイルスの影響を受けた個人に、2019/20年度および2020/21年度にそれぞれ最大1万豪ドルを上限に確定拠出型年金への早期アクセスを提供(同12億豪ドル)
  • 確定拠出型年金の最低積み立て額の一時的な削減
  • 社会保障の収入みなし額割合の引き下げ(同8億7,600万豪ドル)

雇用維持のための企業支援

  • 年間売上高5,000万豪ドル未満かつ従業員を雇用している中小企業およびNPOに対して、2万~10万豪ドルを給付(同319億豪ドル、第1弾の計上額含む)

ビジネス継続のための法的保護と財政的支援

  • 中小企業の新規借り入れへの50%の政府保証(同400億豪ドルの融資を支援)
  • 財政難の企業への一時的な救済措置の提供(会社法の改正を含む)
  • 国内航空会社に対して、燃料税、国内旅客サービス料、保安税などの還付および免除(同7億1,500億豪ドル)

なお、連邦政府は、2020/21年度(2020年7月~2021年6月)予算案の公表を2020年10月6日まで延期すると発表した。例年、次年度の予算案は5月の第2火曜日に公表されているが、新型コロナウイルスの感染拡大とその経済的影響によって不確実性が高まっていることから、「今後数カ月で予算案を策定することは非常に困難」と説明している。

(住裕美)

(オーストラリア)

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