欧州委、新型コロナウイルス対策を強化

(EU)

ブリュッセル発

2020年03月13日

欧州理事会(EU首脳会議)は3月10日、テレビ会議を開催し、新型コロナウイルスの感染拡大について協議した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。このテレビ会議では、すべての必要な措置を協力して迅速に行うこと、欧州共同のアプローチと欧州委員会との緊密な協調の必要性が強調され、「ウイルスの拡散の制限」、「医療用品の供給」、「ワクチンなどの研究の促進」、「社会・経済的な影響への対策」の4点が優先事項として特定された。

欧州委員会は同日、欧州理事会のテレビ会議の結論を受けて、人的側面と経済的側面の両面での新型コロナウイルス感染対策の強化を発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が述べた欧州委の取り組みは次の通り。

  • 欧州委は、加盟国の保健担当相および内務担当相と毎日電話会議を行い、必要な施策を調整する。
  • 欧州レベルでの指針を得るため、複数の加盟国の疫学者とウイルス学者からなるチームを招集する。
  • 欧州委は、利用可能な防護用品と呼吸器具の在庫の数量、およびそれらの生産・供給能力を調査中である。
  • コロナウイルスに関する研究を対象とする欧州の資金提供イニシアチブを強化する。
  • ワクチンと診断、治療に関する有望な研究に、1億4,000万ユーロの官民の資金を動員した。

経済対策として「コロナ対策投資イニシアチブ」を提案

一方、特に経済的側面については、危機克服のためにマクロ経済レベルで取り組まなければならないとし、加盟国と欧州委、欧州中央銀行(ECB)の調整の必要性に言及。加盟国支援に向けて、必要とする企業が国家援助を利用できるようにすること、および、加盟国の財政規律の枠組みである安定・成長協定の柔軟性を最大限に活用すると表明した。

さらに、フォン・デア・ライエン委員長は、医療システムと中小企業、労働市場、その他経済の脆弱な分野への「コロナ対策投資イニシアチブ(Corona Response Investment Initiative)」を提案。75億ユーロの規模の流動性を提供することで、投資総額は250億ユーロに達すると見込んでおり、早期に資金提供を開始したい意向だ。

(村岡有)

(EU)

ビジネス短信 0ef2699575e73b2a