2019年の在外フィリピン人の送金額、過去最高の301億ドル

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月11日

フィリピン中央銀行(BSP)は2月17日、2019年のフィリピン人海外労働者(OFW)を含む在外フィリピン人から国内への送金額(銀行送金ベース)が前年比4.1%増の301億3,330万ドルとなり、過去最高を記録したと発表した(図参照)。うち、陸上職からの送金が3.5%増の235億9,405万ドル、海上職が6.5%増の65億3,925万ドルだった。

図 在外フィリピン人による送金額推移

2019年の送金額を国・地域別でみると、首位は前年に引き続き米国で113億1,834万ドル(前年同期比13.3%増)となり、全体の37.6%を占めた。2位以下は、サウジアラビア20億9,829万ドル(5.9%減、シェア7.0%)、シンガポール19億649万ドル(3.1%増、シェア6.3%)、日本17億9,538万ドル(18.6%増、シェア6.0%)、アラブ首長国連邦(UAE)15億9,245万ドル(21.8%減、シェア5.3%)、英国15億6,696万ドル(4.6%増、シェア5.2%)と続いた(表参照)。

表 在外フィリピン人による送金元別送金額

米中貿易摩擦や中東地域の緊迫化、英国のEU離脱(ブレグジット)といった不安定要素が存在したものの、2019年の送金額は過去最高額を記録した。特に首位の米国では、好調な国内経済を背景に在米国フィリピン人の雇用も順調に推移したと考えられる。一方で、2位のサウジアラビアは、イランによる米軍への報復攻撃など中東地域の緊迫化も影響した。また、フィリピン政府はサウジアラビアへの労働者派遣について、総額46億ペソに上る給料不払いがあることから削減すると発表した。2020年は、中国・武漢市を発生源とする新型コロナウイルスの世界的な感染の影響が長引いた場合、在外フィリピン人の雇用に影響が生じ、フィリピンへの送金額が減少する可能性があると考えられる。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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