金融消費者保護法案を国会で審議、立ち入り検査や罰金刑を規定

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月16日

フィリピンで、投資詐欺や法外な価格での販売など悪質な金融商品・サービスから消費者を保護する法案「金融消費者保護法案(House  Bill  No.6143)(以下、法案)」が国会で審議されている。

法案は序文で、中央銀行(BSP)や保険委員会、証券取引委員会(SEC)といった規制当局が金融商品・サービスを提供する者(以下、金融サービス提供者)を検査、取り締まり、監視するとともに、そのための規則を制定する法的権限を与えるとしている。

法案第6条は法的権限の具体的な内容を規定しており、規制当局は金融サービス提供者の営業時間中いつでも立入り検査または立ち入らずに検査ができるとし、金融サービス提供者が法案の内容に違反または従わない場合は、営業の継続を規制し、責任者を解任または停職とし、第15条に従い禁錮刑および罰金刑を科すことができると規定する。

第8条は金融サービス提供者が従うべき義務や責任を定める。まず、金融サービス提供者の全ての金融商品・サービスについて、その価格が適切かどうかを決定するための書面の手続きを定めることを金融サービス提供者に求めるとする。次に、透明性や公開に関する義務を定め、金融商品・サービス自体の価格だけでなく、購入に当たって必要となる全ての経費に関する情報を消費者に開示するとともに、ほかの金融サービス提供者の価格と比較するための情報を提供することを義務付けた。さらに、2012年施行のデータ・プライバシー法にのっとり、金融サービス提供者は消費者の個人情報を保護し、規制当局は金融サービス提供者が消費者の個人情報を第三者に提供することを規制する規則を作成することも義務付けている。

第15条は、金融サービス提供者が法案の内容に違反または従わない場合、1年から5年の禁錮刑もしくは5万ペソ(約10万5,000円、1ペソ=約2.1円)から200万ペソの罰金刑、またはその両方が科されるとし、違反または従わないことで利益を上げるか損失を減らした場合は、その利益の額または減らした損失の額の最大3倍の罰金刑が追加で科されると規定する。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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