市町村議会選挙第1回投票で与党が苦戦、決選投票は新型コロナウイルスで延期に

(フランス)

パリ発

2020年03月18日

フランスでは3月15日、市町村議会選挙の第1回投票(注)が予定通り行われた。内務省の同日17時時点の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、投票率は38.77%となり、2014年の前回投票率の54.54%を大きく下回った。コロナウイルス感染への懸念が投票所から有権者の足が遠いたもよう。

エドアール・フィリップ首相は3月14日の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、市町村議会選挙は予定通り実施する一方、コロナウイルスの急速な感染拡大に対応するため、15日0時から新たな指示が出るまで、食料品店、薬局、給油所、銀行、たばこ・雑誌販売店など生活必需品を扱う店舗を除き、飲食店、カフェ、映画館などの公共の場所を一斉に閉鎖する決定を明らかにした。また、国民に移動を可能な限り自粛するよう求めるほか、公共交通機関も徐々に運行を制限すると発表していた。

選挙結果は現職有利の展開となった。地方に基盤を持たない政権与党・共和国前進は当初の予想通り苦戦を強いられた。3月16日付「ル・フィガロ」紙などによると、出馬した閣僚のうち、ダルマナン行動・公会計相(トゥルコワン市)、リステール文化相(クーロミエ市)は決選投票を待たずに当選を決めた。フィリップ首相(ルアーブル市)は得票率では首位を確保したものの過半数を得られず第1回戦での当選を逃した。接戦が予想されたパリ市では、現職イダルゴ市長(社会党)が得票率を30%まで伸ばし、共和党ダティ候補や与党・共和国前進のビュザン候補を引きはなして決選投票に駒を進めた。

ニュース専門放送局「フランス・アンフォ」によると、極右の国民連合(RN)は南部フレジュス市やボーケール市、北部エナン=ボーモン市の現職市長が決選投票を待たずに当選を決めた。ヨーロッパ・エコロジー・緑の党(EELV)はストラスブール市、リヨン市でトップに立つなど躍進した。

市町村議会選挙は3月22日に決選投票が行われる予定だったが、コロナウイルスの感染拡大を受け各政党から延期を求める声が出ていた。マクロン大統領は16日、国民に向けたテレビ演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、決選投票を延期する決定を伝えた。

(注)人口1,000人以上の市町村議会議員の選挙方式は政党別候補者リストへの2回投票制。第1回投票で過半数を獲得した政党別候補者リストがなければ、2回目の投票が実施される。第2回投票は、第1回投票で10%以上を得票した政党別候補者リストのみが対象となる。2回目の投票で相対多数を得た政党別候補者リストに対し、議席の半数が配分され、残り半数の議席は比例配分される。なお、パリ、マルセイユ、リヨンは市をさらに区単位に分割した特別選挙制度が適用される。

(山崎あき)

(フランス)

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