ドイツ産業連盟、輸出減少と設備投資減退による国内経済停滞を予測

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2020年03月16日

ドイツ産業連盟(BDI)は3月5日、2020年の第1四半期(1~3月)報告書を発表した。新型コロナウイルスの世界的流行がドイツ経済にとっても最大の不安要素として指摘した上で、輸出や設備投資の減退により、2020年のドイツの実質経済成長率が0.5%にとどまるとの予測を示している(表参照)。

世界経済への負の影響を懸念

BDIは報告書の中で、各国の感染症対策が産業分野に特に大きな影響を及ぼすと指摘。一部の国や分野で生じている消費者行動への影響も相まって、世界経済全体の需給動向にネガティブな影響が生じている、としている。特に中国の感染症対策により、自動車輸出や観光産業をはじめとした各産業が負の影響を受けているという。またBDIは、IMFや欧州委員会の経済予測は新型コロナウイルスによる国際経済への深刻な影響を加味しておらず、それぞれの予測で示された成長はもはや望めないとの見方を示している。

ドイツ経済については、現在最も新型コロナウイルスの影響を受けている中国、韓国、日本、イタリアの4カ国で2019年にドイツの輸出の約15%を占めたことを挙げ、2020年に財・サービスの輸出が前年比で0.5%減少すると予測している。さらに、前年から続く世界的な経済の減速感に加え、ますます強まる世界的な経済の先行き不透明感や生産稼働率の低下により、企業の設備投資は前年比で3%減少すると予測している。一方、内需をみると、減速傾向はあるものの、引き続き経済を下支えすると見込む。BDIは、第2四半期(4~6月)以降も新型コロナウイルスによる影響が継続する場合、さらなる悪化もありうるとして、警戒感を強めている。

表 ドイツ産業連盟(BDI)による2020年の国内経済成長率予測

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(ドイツ)

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