ムハンマド・アラウィ次期首相、主要会派が支持表明

(イラク)

ドバイ発

2020年02月17日

イラクのバルハム・サーレハ大統領は2月1日、12月1日に辞任したアデル・アブドルマフディ前首相の後任として、ムハンマド・アラウィ氏を指名した。イラク国民議会も支持を表明、アラウィ次期首相は、イラク憲法で「指名から30日以内」と定められている新しい閣僚名簿の議会提出に向け、調整作業を開始した。

憲法は、総選挙後の大統領が「15日以内に議会の最大会派から首相を指名する」と規定しており、2005年の現行憲法下で初となった首相辞任を受けてもその期限が適用されるとみていた。しかし、多数の中小グループからなるイラク国民議会では「最大会派」を欠いていることから調整が難航し、後任首相の指名まで2カ月を要した。

アラウィ氏は、ヌーリ・マリキ政権時の2006年からと2010年からの2回、通信相を務め、初回は通信省内の汚職問題で、2回目は当時のマリキ首相の「分離主義的な方針(シーア派優遇策)」と職務干渉に抗議するかたちでいずれも辞任した。今回の首相指名については、マリキ氏が党首を務めるダアワ党が反対しているものの、宗教指導者ムクタダ・サドル師が率いる政治連合サーイルーン、シーア派民兵組織を支持基盤とするファタハ(征服連合)の主要2大会派が支持を表明している。隣国イランの外務省報道官は歓迎の意を国営イスラム通信に伝えたほか、シーア派ムスリムに大きな影響力を持つシーア派最高指導者のアリー・シスタニ師も7日の金曜礼拝でアラウィ氏による組閣に期待する声明を発表している。

同氏は、イラク戦争後の暫定政府首相を務め、現在でも世俗派と目される政治グループを率いるイヤード・アラウィ氏のいとこに当たる。

次期首相が提出する閣僚名簿は、首相の信任と合わせて議会で審議される。アブドルマフディ前政権は首相信任は可決されたものの、複数の閣僚が否決された状態で発足し、内務相や国防相といった主要閣僚が出そろうまでに8カ月を要している。

(田辺直紀、オマール・アル=シャマリ)

(イラク)

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