ブレグジット以降もEU・英国の基準調和を求める欧州産業界

(EU、英国)

ブリュッセル発

2020年02月04日

英国のEU離脱(ブレグジット)を目前に控えた1月31日、今後の新たなEU・英国の経済関係の在り方について、欧州産業界から声明が相次いだ。経済関係については、総じて「現状に近い状況の維持」(英国がブレグジット以降もEU単一市場に高い水準のアクセスを確保する状態)を望む声がほとんどだが、EU側は既にその条件として「英国がEUと同レベルの社会基準・規制モデルを維持すること」があるとの姿勢(2020年1月28日記事参照)を強めており、今後の「EU・英国の将来関係に関する包括的な合意」を目指す協議では、この一線をめぐる交渉が始まる。

ブレグジットは尊重しつつ、英国のEU法制度からの離脱には危機感

欧州自動車部品工業会(CLEPA)のシフリット・デ・フリース事務局長はメディア取材に対するコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「CLEPAは(現在のEU・英国の)高度に統合された自動車サプライチェーンを可能な限り維持し、(英国がEUの)規制や技術認証から逸脱することを回避し、熟練労働者の移動継続の確保を提唱したい」と語り、ブレグジット以降も英国がEUルールに準拠すべきとの考えを示唆した。また、EU・英国の新たな経済関係については「(非関税分野も含む)包括的で野心的な経済連携ではなく、自由貿易協定(FTA)を通じて、EU・英国の新たな将来関係を構築しようとすることは、政治宣言に盛り込まれた精神に照らして、著しい『劣化』になる」との認識を示した。欧州自動車部品産業界としては、単に関税回避を優先するのではなく、車両型式認証や排ガスなどをめぐる環境規制など広範な分野の基準・ルールの整合を求める姿勢だ。

欧州商工会議所(ユーロチェンバース)は1月31日付の声明で、「幾つかの戦略分野では(EU・英国間での)規制調和が重要なことを強調したい」と指摘。同会議所のクリストフ・ライトル会頭は、短期間で「野心的で深く柔軟な経済連携に合意することは非常に困難(2020年1月31日記事参照)だ」とし、「しかし、産業界、特に中小企業にとって実務的に対応不可能だと後々分かるような、拙速な妥協は回避すべきだ」と述べ、今後の慎重な協議を求めた。

欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体であるCOPA-COGECAは1月31日付の声明で、移行期間終了後に、EU・英国双方の農業生産者に壊滅的な打撃となるような「クリフ・エッジ」状態は回避されるべきと警告。さらに同団体は、英国がEUの農業生産基準に適合しない農作物の生産をする場合、農産品に対する関税回避を目指す交渉に水を差すことになるとし、「今後の将来関係についての合意の中で、不公平な競争環境を認めず、EU単一市場との統合を守ることが大事だ」としている。

このほか、欧州サービス・フォーラム(ESF)、欧州銀行連盟(EBF)、欧州船主協会(ECSA)なども、円滑なEU・英国の経済関係の維持をも求めた。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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