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スイス企業がCIAなどの諜報活動にかつて加担した疑い、政府が調査開始

(スイス)

ジュネーブ発

2020年02月27日

米国中央情報局(CIA)とドイツの情報機関・連邦情報局(BND)の依頼を受け、スイス企業クリプトが1970~1993年の間、国際スパイ活動「ルビコン作戦」に協力していたとのスキャンダルが、ドイツZDFテレビと米国「ワシントン・ポスト」紙で報道されたことをスイスメディアも大きく報じ、スイス政府が調査を開始するなど、大きな問題になっている。

これらの報道によると、同社は120カ国以上の大使館に納入した通信機器を通じて盗聴に関与したとされている。スパイ活動の対象国は、報道されているだけでも、日本や韓国、中近東諸国を含めた60カ国以上に上る。この「ルビコン作戦」は、冷戦下で始まった国際諜報(ちょうほう)活動の中で最も成果を上げたものの1つとされる。米国にとっては、冷戦下で自国の影響力の及ばない各国に、スイスの信用力を生かして機器の納入を図ることができ、クリプトとしても、米国とその同盟国に機器を納入できる利点があったと考えられる。同作戦により、1973年にチリのアジェンデ大統領時代に発生したクーデターの支援にチリ政府から傍受した情報が利用されたり、1982年の英国とアルゼンチン間のフォークランド領土紛争でアルゼンチン軍から傍受した情報が英国に伝達され活用されたりするなどの事例があったという。

同社は、少なくとも1970年代にはドイツのシーメンスを通じて米国とドイツとの協力関係を構築したとされる。1993年以降の諜報機関との関係は明らかになっていないが、2018年1月まではCIAが関与していた可能性もあるという。この時点で同社は、海外部門をクリプト・インターナショナルとして分社化するとともに、名称をCyOneに変更した。諜報活動への関与を調査していたスイス連邦政府は2019年12月、クリプト・インターナショナルに対する輸出許可を調査結果が明らかになるまで停止したという。

スイス企業の諜報活動への関与について、以前から疑義はあったものの、具体的に提起されたのは初めてだ。スイス連邦参事会(内閣)も調査を開始した。当時の参事会メンバーが作戦を承知していたとの報道も出ており、永世中立国としてのスイスの信用を大きく揺るがしかねない大きな問題となっている。

(和田恭)

(スイス)

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