オンラインカジノ事業者の徴税強化のため内国歳入法改正法案提出

(フィリピン)

マニラ発

2020年02月27日

フィリピンにおいて、適切な法人所得税を支払わずに違法営業を行うオンラインカジノ事業者への徴税を強化するため、1997年施行の内国歳入法を改正する法案(上院第1295号法案)が1月27日、上院に提出された。

上院第1295号法案は、内国歳入法の27条および28条を改正するかたちで、フィリピン国内に存在する全てのオンラインカジノ事業者に対して、30%の法人所得税を課税することを規定した。また、119条を改正するかたちで、事業収入の5%をフランチャイズ税として徴税することを明記した。

フィリピンでは、中国本土の中国人がオンラインで賭博を行うためのサービスを提供するオンラインカジノ事業者が、マニラ首都圏を中心に急増し、フィリピンの規制当局がその収益やビジネスの実態をつかめず、適切な徴税ができていないことが社会問題化している。

オンラインカジノ事業者の多くが、労働ビザを保有せずに不法就労する中国人労働者を多く抱えているとされ、ドゥテルテ大統領が中国の習近平国家主席と北京で2019年8月に会談した際に、フィリピンのオンラインカジノでの中国人による違法営業や不法就労に対する、フィリピン政府の取り締まり強化を中国側が求めるなど、中国政府も問題視している。

財務省の内国歳入庁は2019年11月、付加価値税と所得税の不払いや適法な登録手続きを行わずに事業を行っていたとして、国内最大のオンラインカジノ事業者に対して事業停止命令を出した。内国歳入庁によると、当該企業は6,700人の外国人を雇用しており、その多くが中国人という。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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