新型コロナウイルス感染拡大、企業の多くは悪影響を予想

(韓国)

ソウル発

2020年02月25日

韓国経済研究院(KERI)が2月17日に発表した「新型コロナウイルス感染による韓国企業への影響調査」(非金融1,000社対象、152社回答)によると、「経営への悪影響を予想」と回答した企業は過半数の61.8%となり、中国に生産設備を有する企業では83.9%に上った。韓国政府は「輸出、通関支援強化、資金調達や融資の拡大など積極的な被害企業支援が必要」とコメントしている。

同研究院は、感染収束まで6カ月以上かかった場合、韓国企業の2019年の売上高は前年比8.0%減、輸出は9.1%減と予想している。主な産業別の売上高の前年比較では、(1)自動車13.9%減、(2)自動車部品12.8%減、(3)石油製品12.4%減、(4)一般機械11.0%減としている。対中国輸出額については12.7%減と予想した。産業別では、(1)石油製品17.8%減、(2)自動車14.5%減、(3)一般機械11.6%、(4)自動車部品11.0%減、石油化学10.0%減とした。

企業の対応策では、(1)中国現地出張を控える(34.3%)、(2)特段の対応方法なし(29.5%)、(3)輸出の強化(10.5%)、(4)従業員の国内召還または在宅勤務(10.2%)、(5)現地経営活動の縮小(6.7%)などの回答があった。

政府に望む支援策は、(1)国内外の感染状況などに関する迅速な情報共有(57.0%)、(2)拡散防止のための防疫システムの強化(21.2%)、(3)企業活動支援のための政府間協力(9.5%)、(4)中華圏への輸出支援(6.4%)、だった。

こうした中、文在寅大統領は2月13日にソウル市内で、サムスン電子や現代自動車など大企業6社と主要経済5団体のトップとの懇談会(非公開)を行った。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んでいる韓国経済の回復に向け、産業界に設備投資を呼び掛け、産業界からは政府に対しさまざまな建議事項が示された。これを受け、大統領府は2月19日、「産業界の全ての要望に対し、支援策を実行する」と発表した。

建議内容をみると、大企業からは、「中国現地工場のための防疫物品支援」(現代自動車)や「感染者が発生しても工場の部分稼働ができるよう中国政府との交渉」(SK)、「中韓の貨物便減便の最小化」(SK)などがあった。経済団体からは、「公共事業取り消しの最小化」「金融・税制面での支援」「中小企業および小規模事業者への支援」「関税特例の拡大」「フレックス勤務の導入」など広範囲にわたった。

〔三根伸太郎、李丙鎬(イ・ビョンホ)〕

(韓国)

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