2020年GDP成長率予測を上方修正、デジタルインフラなどの投資増強の方針

(ドイツ)

ベルリン発

2020年02月07日

ドイツ経済エネルギー省(BMWi)は1月29日、「ドイツと欧州における成長と競争力、生産性の強化」と題する2020年の年次経済報告書を発表した。

2020年の実質GDP成長率予測を2019年秋の予測の1.0%から1.1%に上方修正した。内需の伸びは2019年の1.0%から2020年は1.6%に、輸出は0.9%から2.0%に、輸入も1.9%から3.2%と、それぞれ2019年より加速すると見込んでいる。

また、デジタルインフラや輸送の分野などを重点として、2020~2023年の間に1,624億ユーロ規模で投資を行うと表明した。そのほか、2025年までのドイツ全土でのギガビット対応のモバイル通信網整備や、デジタル経済の進展に対応した欧州レベルでの競争法の実装の促進、再生可能エネルギーの発電効率の向上と電力網の拡大、脱褐炭・石炭の推進なども掲げている。

ペーター・アルトマイアー経済エネルギー相は「2020年の経済は前年の予測より上向いており見通しは明るい」とする一方で、「現在の成長率は低水準にとどまっており、競争力と生産性の向上が必要。そのための投資を促進するためには税制の枠組み改善と減税が必要だ」としている。

年次経済報告書について、経済界からは、政府の見通しに対する懐疑的な見解と、エネルギー問題や減税といった課題への対応の加速を求めるコメントが相次いだ。

ドイツ産業連盟(BDI)のヨアヒム・ラング事務局長は同日、「エネルギーや通信、輸送ネットワークには長期にわたり信頼性が高く継続した投資が求められる。このためには、連邦政府や州政府、自治体は迅速に資金の拠出をすることが求められる。より迅速で簡易な投資計画と承認の手続きが必要になる」として、政府の迅速な対応を求めた。

また、ドイツ商工会議所連合会(DHIK)のマルティン・バンスレーベン会長は「ドイツ企業は景気の回復を実感できていない」とし、「エネルギー転換やデジタル化、熟練労働者の不足がもたらすドイツの構造的な課題は、職業訓練への投資増加や行政手続きの簡素化、アナログとデジタル双方のインフラ改善、投資の迅速化によって解決すべきだ」とコメントした。また、2020年は「減税と公共投資増加が焦点になる」と述べた。

(中村容子)

(ドイツ)

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