IMF、新政権誕生後のアルゼンチンへ初のミッション団派遣

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年02月19日

IMFは2月12日、ジュリー・コザック西半球局副局長などをアルゼンチンに派遣した。19日までの滞在期間中、アルゼンチン政府関係者などとの協議を行う。IMFはマウリシオ・マクリ前政権期の2018年に総額571億ドルのスタンドバイ融資で合意している。今回のIMFのミッションは、2019年12月10日にアルベルト・フェルナンデス政権が誕生して以来、初めてのものとなる。

フェルナンデス大統領は1月下旬から2月上旬にかけて、債務問題を専門とする経済学者のマルティン・グスマン経済相とともに、欧州のIMF加盟各国を歴訪した。現在は「経済成長なくして債務返済なし」という考えの下、総額3,200億ドルを超えるとされる債務再編に着手している。

2月4日にはグスマン経済相とIMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事がローマで2時間半にわたる会談を行った。2月4日付の「タレン」紙によると、両者はアルゼンチンの優先順位は経済の安定化と社会包摂の実現にあることを確認し、建設的な話し合いが行われたという。

ただ、アルゼンチン政府はIMFに対して引き続き強硬な姿勢を崩していない。元大統領で現副大統領のクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル氏は2月8日、外遊先のキューバで「IMFとアルゼンチン政府による合意は違法」といった発言をしている。また、フェルナンデス大統領は2月5日、訪問先のフランスで、現在の交渉をポーカーになぞらえ、「自国の手の内を見せるわけにいかない」と債権者を牽制する姿勢を見せている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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