IMF、新型コロナウイルス拡大で世界経済成長見通しを引き下げ

(世界)

国際経済課

2020年02月25日

IMFのゲオルギエバ専務理事は2月22日、1月の「世界経済見通し」(2020年1月21日記事参照)の発表以降、新型コロナウイルス(COVID-19)が中国の経済活動を混乱させてきていると指摘し、2020年の中国の経済成長率(実質GDP伸び率)見通しを5.6%に下方修正したと発表した(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。サウジアラビアのリヤドで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議の場で発言した。

1月時点の「世界経済見通し」(既出)では、2020年の中国の経済成長率を6.0%としており、0.4ポイント引き下げた。修正値の5.6%となれば、1990年(3.9%)以来初めて6%台を割り込むことになる(図参照)。また、2020年の世界経済成長率は約0.1ポイント引き下がると指摘した。1月発表の「世界経済見通し」では、世界の経済成長率を2020年に3.3%と予測していた。

図 中国の実質GDP成長率の推移

ゲオルギエバ専務理事は上記の見通しについて、「公表された政策が実行され、中国経済が第2四半期(4~6月)に正常化するシナリオ」に基づいていると説明。世界経済への影響については、「比較的軽微で、かつ短期的となるだろう」と見通した。

他方で、「新型コロナウイルスの封じ込め、さらには中国や影響を受ける各国・地域が正常に戻る速さによって、状況は変わる」と述べた。「新型コロナウイルスの拡散が長期化、かつ、より世界に広がり続ければ、世界経済への影響が長引き、より悲惨なシナリオも検討している」と、下振れリスクを警戒した。

IMFはG20財務相・中央銀行総裁会議に先立つ2月19日、G20の場で討議資料となるIMFの報告書〔G-20 Surveillance Note(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕を公表した。「感染の拡大や長期化、もしくはそれに伴う不確実性がサプライチェーン(供給網)をさらに混乱させ、また、景況感をより持続的に低下させ、世界的影響をより深刻にする可能性がある」と警鐘を鳴らしていた。

(柏瀬あすか、朝倉啓介)

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