新REIT規則が施行、フィリピン不動産市場の活性化に期待

(フィリピン)

マニラ発

2020年02月25日

フィリピン証券取引委員会(SEC)は1月20日、2009年施行の不動産投資信託(REIT)法(共和国法第9856号)の施行細則(IRR)の改正版を施行した。

改正IRRは、REIT法が定めるREIT上場1年目の最低浮動株比率(注)40%、3年以内に67%という要件について、1年目を33%に引き下げた。ただし、REITによる収益を1年以内に国内の不動産またはインフラに再投資することを求めるとした。

フィリピン内国歳入庁(BIR)は、改正IRRに合わせて、歳入規則(RR)を改正し、REITを付加価値税(VAT)の免除対象とした。フィリピン証券取引所(PSE)も、REITの上場基準を緩和し、最低払込資本金を5億ペソ(約11億円、1ペソ=約2.2円)から3億ペソに引き下げた。

マニラ首都圏の2019年第3四半期(7~9月)のオフィス賃料は、月当たりの平均1平方メートル単価が994ペソと前年同期比12.5%上昇した。米国のモルガン・スタンレー・リサーチ(MSR)によると、フィリピンの不動産デベロッパーの2018年の売上高増加率は22%で、2019年と2020年の前年比の売上高増加率をいずれも10%と予測するなど、フィリピンの不動産市場は活況を呈している。REIT法の施行から既に10年が経過するが、3分の2以上の浮動株比率という要件によって、実質的な支配権を保有することができないため、フィリピンの大手企業の多くはREITを活用していなかったが、今回のREIT上場基準の緩和措置により、そうした不動産市場への資金流入や各社の資金調達力の向上が期待される。

(注)一般投資家などが売買可能な市場流通性の高い株式数の全発行株式数に占める比率の下限。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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