新型コロナウイルス感染者は確認されず、油価への影響を注視

(サウジアラビア)

リヤド発

2020年02月05日

サウジアラビア国営通信(SPA)によると、2月3日時点でサウジアラビアでは新型コロナウイルスの感染者は確認されていない。中国・武漢から2日に急きょ帰国したサウジアラビア人留学生10人に対する初期検査でも、感染は確認されていないと保健省は発表した。

サウジアラビア航空は2月2日から中国本土発着便の運航を停止し、手数料なしで航空券の払い戻しに応じ始めた。また政府は、国際線が離着陸する全ての国内空港でのスクリーニング検査の実施、在中国サウジアラビア人の引き揚げと中国への渡航中止勧告を発している。

2019年9月末に解禁した観光ビザでの国籍別入国者で中国人がトップとなっていることや、隣国のアラブ首長国連邦(UAE)で新型コロナウイルスへの感染者が既に複数確認されていることから、サウジアラビア関係者の緊張は高まっているものとみられる。一方、MERS(中東呼吸器症候群)を経験し、毎年多くの巡礼者を海外から受け入れているサウジアラビアでは、感染症封じ込めに対する関係者の意識は高く、医療体制も相応に整っている。

大きな影響が懸念されるのは油価の動向だ。アブドルアジーズ・エネルギー相は早い段階から、新型コロナウイルスの感染拡大による油価への影響は限定的との見方を示していたが、感染が広がるに伴い、顕在化しつつある経済活動の低迷や、航空機を中心とする輸送部門のエネルギー需要減が徐々に油価の下落として影響を及ぼし始めており、今後の動向が注視される。

(庄秀輝)

(サウジアラビア)

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