デジタル産業の成長で商機拡大、ジェトロ・アフリカICTビジネスセミナー開催

(アフリカ)

中東アフリカ課

2020年02月14日

ジェトロと総務省は2月7日、東京で「変貌するアフリカICTビジネスセミナー」を開催した。アフリカの情報通信技術(ICT)産業の成長性やスタートアップ企業の動向について、国内外の専門家4人が講演した。アフリカでデジタル化が着実に進んでいる状況下、最新のICTを使って地域に根差したサービスが展開されているなど、現地の最新情報を伝えた。参加者(186人)からは「現地スタートアップが日本企業に求めていることは何か」といった質問が出たりして、高い関心がうかがえた。

新興国におけるイノベーションに詳しい東京大学社会科学研究所の伊藤亜聖准教授は、デジタル化はモバイル送金サービスのエムペサに代表されるケニアをはじめ、アフリカ諸国も例外ではないことを強調した。さらに、新興国では、製品・サービスを生み出す際、いちから研究・開発(R&D)をするのではなく、既存の技術をその社会や文化に合わせてアレンジしていく「社会実装(Deployment)」の例が成功しているとした。ジェトロ・ヨハネスブルク事務所の川崎大佑所員は、アフリカ各国ともスマートシティー構想や国民IDシステムを用いた行政サービス、農業ICT、第5世代移動通信システム(5G)ネットワーク整備を進めており、通信インフラやデータセンターの需要が大きいと力説した。

スタートアップブートキャンプ(アフリカ)共同創業者兼最高投資責任者(CIO)のザカリア・ジョージ氏は、ナイジェリアを中心にアフリカ全域で事業を行うフラッターウエーブ(米国、フィンテック)や、ケニアで活動するエムポスト(米国、ロジスティック)を例として挙げ、各スタートアップが地域に根差したソリューションを提供していることを紹介した。ディメンションデータ最高技術責任者(CTO)のジェイアンドラン・レディ氏は、各種データを紹介しながら、アフリカの通信分野の成長性について解説した。

講演者らはアフリカのICT産業の有望度に触れた一方で、アフリカのデジタル産業における留意点も強調した。日本企業が得意とする自動化技術は雇用を減らす側面もあるため、アフリカ側のニーズ(雇用の創出)に必ずしも合わないことを指摘した。ICT・データを活用し、付加価値の向上に焦点を当てるなど、自社の製品・サービスを市場のニーズに合わせていく必要があると提言した。

写真 日本企業関係者ら186人が参加した(ジェトロ撮影)

日本企業関係者ら186人が参加した(ジェトロ撮影)

(山崎有馬)

(アフリカ)

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