国内初の新型コロナウイルス感染者を確認

(ルーマニア)

ブカレスト発

2020年02月28日

ルーマニアの各種メディアは2月26日夜、国内で初めてルーマニア人1人が新型コロナウイルスに感染したと報じた。感染地は南部クラヨバで、首都ブカレストから西に約200キロの地方都市だ。患者はブカレスト市内のマテイ・バルシュ国立感染症研究所に搬送され、隔離されて経過観察中という。

ルーマニア外務省と保健省は感染元について、ルーマニアからイタリア帰国後に発症し東海岸のリミニの病院に入院中の71歳のイタリア人男性と確認した。この男性は2月18日から22日まで、ルーマニア人の妻とともにクラヨバを訪れて親戚らと会い、前述のルーマニア人と狩猟などの行動を共にした。現時点で命に別条はないという。これを受けてルーマニア政府当局は、このイタリア人男性の国内での足取りを追うとともに、濃厚接触者への感染確認を急いでいる。

ルーマニアでは、イタリアで発生した大規模な新型コロナウイルス感染拡大後、国内での発生は時間の問題とみられていた。両国は歴史的、経済的なつながりが強い。オフシーズンには両国間の往復航空券が30ユーロ程度で入手可能なこともあり、格安航空などを利用した往来も非常に多く、イタリアへの移住も増加している。国連によると、2017年12月時点で約100万人のルーマニア人がイタリアに居住しており、最大の移住先となっている。

2月27日現在、ブカレスト市内では大きな混乱はないものの、小売店での食料買いだめが一部見られるほか、薬局ではマスクやアルコール除菌剤が品薄になっている。26日夜にはブカレストの地下鉄車内で、サッカー観戦後の観客の一部がアジア人男性につばを吐きかけるなどの暴行を加えて車内から追い出すという事件も発生した。国内で今後さらに感染者が増加すると見込まれる中、赴任地以外の国への出張を原則禁止とする日系企業もあり、緊張が次第に高まっている。

(水野桂輔)

(ルーマニア)

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