日系企業の景況は依然厳しくも、事業の維持・拡大に変化なし

(ロシア)

モスクワ発

2020年02月07日

ジェトロは1月15~28日、在ロシア日系企業景況感調査を実施した。自社の景況感(最近の状況)DI(注)は、2019年9月の前回調査(2019年9月25日記事参照)に比べ、10ポイント減のプラス3と前回に引き続き大きく低下した(図参照)。自社の景況見通し(2カ月後の状況)DIは、17ポイント減のマイナス1と約3年ぶりにマイナスに転じた。

図 自社の景況感DIと2カ月後の景況見通しDIの推移

ロシアのマクロ経済指標は比較的安定して推移しているものの、市場の回復は鈍く、景気の停滞感は強い。消費市場は価格重視の傾向が強くなり、品質を売りにする日系企業は苦戦を強いられている。

他方、今後1~2年のロシアでの事業展開見通しについては、「拡大」または「維持」と回答した企業は引き続き9割以上を占めた。急速な市場の回復・拡大は期待できないという声が多い一方で、最近の安定したファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を評価し、中長期的な事業拡大を狙う声も根強くある。

今後の事業展開の戦略としては、採算の取れる商材や案件から着実に少しずつ事業拡大を図る、市場規模の拡大は見込めないためシェア拡大に努める、ロシア以外のCIS圏へ事業を拡大するなど、市場が停滞する中でも利益確保に向けて戦略を練り、地道に営業活動を続けるという反応が多かった。

今回の調査は、モスクワ・ジャパンクラブ商工部会とサンクトペテルブルク日本商工会の協力の下、ロシアに所在する日系企業約250社を対象に実施し、91社から回答を得た。回答企業のうち、製造業は17社、非製造業(メーカーの販売会社を含む)は74社だった。

(注)景気動向指数:ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index)の略。「良い」と回答した企業の比率から「悪い」と回答した企業の比率を引いた数値。

(戎佑一郎)

(ロシア)

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