中小企業庁が大規模な起業支援イベント「Biban」を開催

(サウジアラビア)

リヤド発

2020年02月05日

社会・経済の改革が大胆に進むサウジアラビアでは、経済の多様化や雇用創出につながる起業支援の活動も活発だ。サウジアラビア中小企業庁(Monshaat)は1月29日~2月1日に、リヤドで「Biban Riyadh Forum外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と題する大規模な起業支援イベントを開催し、若者を中心とする多くの参加者でにぎわった。「Biban」はアラビア語で「とびら(扉)」の意を持つとされ、本イベントは起業にまつわるエコシステムを国内に整備し、アイデアあふれる若者に積極的にビジネスをスタートしてもらうことを目標としている。

フォーラム会場内は、アイデアをビジネスに発展させる、ビジネスのモデルを設計する、資金を集める、アドバイスを受ける、法人を立ち上げる、成長を目指す、といったさまざまな起業段階を「ゾーン」で分け、ゾーンごとに必要なサービスを提供する政府機関や民間企業が集められ、熱心な来場者対応が行われていた。また、各ゾーンには相談ブースや、セミナースペースが細かく設けられ、専門家による個別支援がスムーズに受けられる構成になっていた。

イノベーションを通じて経済に刺激を与え、雇用創出にも貢献する起業家支援は世界的な潮流だが、サウジアラビアにおいてもその取り組みが年々、活発になってきている。これまでのサウジアラビアでは、公務員になって石油収入の分配を受けることが望ましいキャリアとされてきたが、自ら起業し生計を立てていくことを選択する若者が男女を問わず増えている。実際に、会場内には多数の女性の参加が見られた。

写真 会場内のイノベーション・ゾーン(ジェトロ撮影)

会場内のイノベーション・ゾーン(ジェトロ撮影)

会場では、サウジアラビアでの起業パターンは、飲食サービス、服飾デザイン(特に女性向けアバーヤ)、サウジ人が伝統的に強みを有する商業(貿易を含む)、また社会のデジタル化の進展とスマートフォンの普及を背景とする便利なアプリ(ソフトウエア)の開発を手掛けるケースが多いと見受けられたが、会場の熱気からは石油のみに依存しない社会づくりのリアリティーを感じ取ることができた。なお、国家戦略の「サウジ・ビジョン2030」では、若い起業家への後押しと起業しやすい環境の整備を通じて、GDPに占める中小企業の割合を35%に高めるとの目標が掲げられている。

写真 会場内の至る所でワークショップを開催(ジェトロ撮影)

会場内の至る所でワークショップを開催(ジェトロ撮影)

写真 バンダル・アル・コライエフ産業鉱物資源相も来場(ジェトロ撮影)

バンダル・アル・コライエフ産業鉱物資源相も来場(ジェトロ撮影)

(庄秀輝)

(サウジアラビア)

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