香港政府、新型コロナウイルス対策を強化、政府関係者の在宅勤務措置は延長

(香港)

香港発

2020年02月03日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は1月31日、政府関係者に対する在宅勤務措置(2020年1月29日記事参照)の延長など、新型コロナウイルス対策を強化すると発表した。

政府関係者に対する在宅勤務措置は2月9日まで延長し、緊急かつ重要な公共サービスを提供する職員は対象外とする。併せて、民間企業などに同様の対応を取るよう要請した。また、香港内の幼稚園および小・中学校などの休校期間を3月1日まで延長するとした。

水際対策では、湖北省を除く中国本土から戻ってきた香港市民に対しては、14日間連続して自宅に待機し、外出する場合はマスクを着用するよう求める。過去14日間以内に湖北省を訪問した香港市民には、当局に申し出て、検疫センターに滞在するよう義務付けた。1月31日時点で香港に滞在している湖北省からの来訪客33人は、感染の症状が認められる場合には検疫センターに滞在、症状のない場合には可能な限り早期に香港から離れるよう退去を命じる。また、2月1日から香港国際空港において、出発および乗継便を利用する乗客に対して体温測定を実施し、発熱の症状が認められる場合は搭乗を禁止、羅湖および深セン湾の出入境検査場では健康申告制度が導入されている。

香港政府の対策を受け、香港内の多くの企業が社員に対して自宅勤務を命じるなど、政府と同様の措置を講じている。例えば、香港の大手コングロマリットの新世界発展(ニューワールド)グループは、社員の自宅勤務を2月9日まで認める。また、香港の大手銀行のHSBCは、一部の支店で業務を2月3日から一時的に停止する。一方、香港証券取引所が公表している株価指数(ハンセン指数)は、春節休暇明け(2月3日)に3.4%下落(注)したものの、通常どおり売買を行っている。

香港では、2月2日正午までに15人の感染者が確認され、168人が感染疑いのため入院・検査中だ。

(注)1月29日始値(2万7,101.54ポイント)と、2月3日始値(2万6,189.61ポイント)との比較。

(吉田和仁)

(香港)

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