2020年の建設市場成長率は9.4%、フィッチの予測

(フィリピン)

マニラ発

2020年02月26日

格付け大手フィッチ傘下の調査会社フィッチ・ソリューションズ・マクロ・リサーチ(FSMR)は1月31日、2020年のフィリピンの建設市場は前年比で9.4%成長するとの予測を発表した。

FSMRは、フィリピンの建設市場は潤沢な公共投資とODAを中心とした海外からの支援に支えられ、ASEAN域内でもトップクラスの高成長を記録すると予測し、2019年の成長率(7.7%)から1.7ポイント加速するとしている。

FSMRは、ASEAN域内でフィリピンよりも建設市場の成長率が高い国としてCLM諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)を挙げたが、いずれも国内市場規模は大きくないため、フィリピンはASEAN域内でも最も魅力的な市場と評価した。

フィリピンの建設市場の中で特に魅力的なセクターとして鉄道プロジェクトを挙げ、合計338億5,900万ドルに上るプロジェクトが計画または建設段階にあるとした。

フィリピンでは、過去最大規模の4兆1,000億ペソ(約9兆200億円、1ペソ=約2.2円)(前年比12.0%増)の2020年度国家予算案が1月6日に成立した。中でも公共事業道路省(5,343億ペソ、前年比15.0%増)、運輸通信省(1,470億ペソ、112%増)といったインフラ整備の主軸である両省の予算が潤沢に増加した。

2019年度国家予算は想定より4カ月ほど遅れて4月に成立したが、それまでの間、新規事業が認められず、暫定予算による継続事業の予算執行にとどまった。また、5月の中間選挙キャンペーン期間中の公共事業が禁止されたことも重なって公共投資が落ち込み、2019年上半期のGDP成長率は5.5%、通年の成長率は5.9%と、7年連続で達成していた6%以上の経済成長率にストップがかかった。

1月に入りマニラ首都圏近郊の火山の噴火や、新型コロナウイルス感染拡大防止のための中国全土からの入国禁止措置など、フィリピン経済にとって好ましくない事態が立て続けに発生。6月で任期5年目に入るドゥテルテ大統領の政権運営の手腕が試される年になる。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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