チェコ中銀、9カ月ぶりに政策金利引き上げを実施

(チェコ)

プラハ発

2020年02月10日

チェコ国立銀行(中央銀行)は2月6日の理事会で、政策金利を0.25ポイント引き上げ、2.25%とすることを決定(即日実施)した。金利引き上げの実施は、2019年5月の0.25ポイント引き上げ(2019年5月7日記事参照)以来9カ月ぶり。

中銀は同時に、ロンバートレート(債権担保貸付金利)およびディスカウントレート(割引率)も0.25ポイント引き上げ、それぞれ3.25%、1.25%とした。

市場の予想外の利上げに、通貨コルナの為替レートは敏感に反応した。中銀発表の2月6日の対ユーロ・レートは、前日の1ユーロ=25.050コルナから24.895コルナへとコルナ高が進み、2012年10月以来の高水準となった。

中銀のイジー・ルスノク総裁は今回の理事会決定に関して、「国内経済ではインフレ圧力が増大する一方、現在のところまだごくわずかではあるが、輸出相手国の産業が成長停滞の兆しをみせている状況が存在し、ジレンマ状態にあったが、最終的にはインフレ対策が先決と判断した」と説明している。

中銀はインフレ目標を2.0%と設定しているが、インフレ率は2017年8月に2%に達した後も上向きの状態が続き、2019年に入ってからも小刻みな上昇を示していた。2019年12月には2.8%に達している。

中銀は、理事会後の記者会見で最新経済見通しを発表した。その中でGDP成長率を、2019年については前回(2019年11月)の予測値2.6%から2.5%に、2020年に関しては2.4%から2.3%にそれぞれ下方修正した。ただし2021年に関しては、前回予測の2.8%に据え置いている。インフレ率は、2021年第1四半期(1~3月)に関して2.1%から2.3%に、第2四半期(4~6月)については1.9%から2.1%に、それぞれ上方修正した。

ルスノク総裁は今後の金利の動きに関して、「今後、さらなる利上げが必要となるほどインフレ率が高くなるとは考えていない」として、今後利上げを繰り返す意思がないことを明らかにする一方で、「利下げに関しては、2020年下半期に国内外の経済状況を踏まえて決定する」と述べ、利下げについては2020年中に実施される可能性もあることを示唆した。

(中川圭子)

(チェコ)

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