アフリカのVC投資は4年連続増加、2019年はナイジェリアが首位

(アフリカ)

中東アフリカ課

2020年02月04日

アフリカで活動するスタートアップ企業がベンチャーキャピタル(VC)から調達した資金総額は、2019年には20億2,000万ドルに上り、同社の調査開始年である2015年から4年連続で増加した(パーテック・パートナーズ調べ、表参照)(注)。投資案件数も、2015年の55件から2019年には250件まで増加し、4.5倍の伸びとなった。2019年8月に行われた第7回アフリカ開発会議(TICAD7)でも注目テーマの1つだったアフリカのスタートアップだが、毎年、着実に調達資金の規模が拡大していることが分かった。

表 アフリカスタートアップの資金調達額と投資案件数の推移

資金調達額および投資案件数を国別にみると、2018年に2位だったナイジェリアが7億4,700万ドル(投資案件数38件)で、2016年以来3年ぶりにトップとなった。前年トップのケニアは5億6,400万ドル(52件)で2位だが、前年比6割増と堅実な伸びを示した。5位だったエジプトは2億1,100万ドル(47件)で3位に浮上した。一方で、3位だった南アフリカ共和国は2億500万ドル(66件)で4位に後退したが、投資案件数ベースではトップになった。5位のルワンダは1億2,600万ドル(4件)で、調達額が1億ドルを超えた国は前年の3カ国から5カ国に増加した。

分野別の金額では、フィンテック(構成比41.4%、8億3,600万ドル)がトップで、分散型(オフグリッド)電力系テック(12.2%、2億4,700万ドル)、企業アプリケーション・ソフトウエア(12.2%、2億4,700万ドル)、ヘルステック(9.3%、1億8,900万ドル)が続いた。資金調達額(公開案件のみ、1件限り)の上位3社をみると、オンライン上の支払い・商取引サービスを提供するインタースイッチ(ナイジェリア)が、決済大手ビザ(米国)などから計2億ドルを獲得した。同じく、オンライン上の支払いサービスを提供するオペイ(ナイジェリア)は、ソフトバンク・ベンチャーズ・アジアなどから計1億2,000万ドルを集めた。また、主にルワンダでドローンを活用した医薬品配送事業を行っているジップライン(米国)は、豊田通商などから計1億2,000万ドルを獲得した。

(注)アフリカで事業を行うテック・デジタル系スタートアップの資金調達案件(1件につき20万ドル以上)が対象。パーテック・パートナーズが独自に入手した非公開の案件も含む。ピッチイベント賞金やローン、買収などは含まれない。

(山崎有馬)

(アフリカ)

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