新型コロナウイルス、2020年の経済成長率を最大0.6%幅押し下げか

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年02月27日

インドネシアのスリ・ムルヤニ財務相は2月19日、国家予算に関する月次の記者発表において、新型コロナウイルスの影響により、2020年のインドネシアの経済成長率が、年率0.6%幅押し下げられる可能性があると述べた。「ジャカルタ・ポスト」紙などが報道した。景気下降に歯止めをかけるため、政府は国家予算の早期支出などの対策を取る見込みだ。

新型コロナウイルスによる景気への打撃は避けられない見通しだ。スリ財務相は「中国の経済成長率が1%下降すると、インドネシアの経済は0.3~0.6%下降する」としている。また同紙で、マンディリ銀行チーフエコノミストのアンディ・アスモロ氏は「2020年の経済成長を5.14%と見込んでいたが、新型コロナウイルスの影響により0.1~0.3%減速するだろう」としている。

こうした状況に対し、インドネシア政府は財政支出を強める方針だ。「ジャカルタ・ポスト」紙によると、スリ財務相は、2020年の国家予算に計上されている公的支出を第1四半期(1~3月)から進める意向を示した。その中には、ジョコ大統領が公約として掲げる職業訓練カード(Kartu Prakerja)導入や、観光業への支援が含まれる。

また、インドネシア中央銀行も景気維持のため、2月20日に政策金利を0.25ポイント引き下げて4.75%とした。

インドネシア統計庁(BPS)によると、2019年の非石油ガス部門の中国からの輸入額は445億7,820万ドルで、同部門の輸入額全体の30.0%に当たる。また、同年の中国からの旅行者数は約207万人で、国別で最も多く、年間総旅行者数の12.8%だった。

(山城武伸)

(インドネシア)

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